◆スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2010年01月12日

◆医療の現在 生きていく力 4

野村さんと同じ事情の方が数人おられました。病院では、何回か会議をして、急遽、高齢者アパートを準備することになりました。病院の近くに準備された高齢者アパートに住んでもらい、医療は外来診療で提供しようというのです。野村さんもそこに移り住むことになったのです。
問題の一つがインスリン自己注射の問題でした。
インスリン自己注射が保険診療として導入されたのは約30年前になります。
導入当時は、インスリンの入った瓶から注射器で微量のインスリン液を吸い、皮下注射するという方法でした。つまり看護師が病院でするのと同じ手技を患者が実行することを求められたのです。
しかし、82才の野村さんが自己注射を覚えることになった15年前には、自己注射用の注射器具がグングン改善されていた頃でした。
あらかじめインスリン液が詰めてあり、目盛りを合わせて、後は押すだけという使い捨て注射器が主流で“ペン式注射器”と総称されていました。
そのバリエーションの一つで高齢者用の“ペン式注射器”が、発売された頃でした。目盛りが1単位刻みで大きく印字されているとか、押しやすいとか、様々な工夫がされていました。
野村さんは、病院で始めて、その注射器を使用することになったのです。
言うまでもなく意欲に溢れた野村さんでしたが、病棟看護師も新しい業務に意欲を燃やし、忽ち野村さんは手技をマスターし、病棟スタッフも驚きました。
スタッフが病棟で療養上の世話に追われている時、しつこく血糖検査の結果を聞きにくる、チョットうるさい野村さんというスタッフのイメージが少し変わったのでした。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:44Comments(0)レッスン