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2010年04月30日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-9

キューブラ・ロスの5段階説は、当時 画期的なものと考えられていましたが、40年を経て、“身構えた理解”から“こなれた理解”へと変遷しているようです。

例えば、末期がんという、特殊なことではなくても、一般に取り返しのつかないような“悪い知らせ”に対して、人は、一定の反応と示すとか
例えば、この経過は、5段階で進行していくのではなく行きつ戻りつするとか
例えば、人 それぞれで 多様性に富んでいるとか。

“心”のストレッサーとしては、“ライフイベント”という考え方も提案されています。
ライフイベント 即ち “人生での出来事”を、その辛さ すなわちストレッサーとしての強度で 点数化しようとする試みもあります。
例えば、“配偶者の死”を100点のストレッサーとすると“転居”は20点のストレッサーとしてカウントするという試みです。
しかし、日々暮らしている実感から言えば、人それぞれではとも思います。
よく言われることですが、長く連れ添った夫に先立たれた妻は、立ち直りが早いが、逆の場合は、大きなダーメージが長く続くということとか。

また、現実生活のストレッサーが複雑であることもあります。
以前、ネズミの実験の例を引いて、現代社会のストレッサーが、直接的な外力というよりも、間接的だと書きました。

例えば、“転居”にしても、それに伴う、経済問題(ローン)、転居に到った背景、勤め先との関係、転居で転校した子供の変化など、様々の要因で、ストレッサーとしての強度は変化するのではないでしょうか?
  


Posted by 杉謙一 at 06:21Comments(0)養生

2010年04月28日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-8

多数の“死にゆく人々”との対話を通して、キューブラ・ロスが、知った共通の経過とは?

否認と隔離・・・・まさか 自分がこんなめに 嘘だろう
怒り・・・・・・・どこに向けていいかわからんが、ムカつく 腹が立つ
取り引き・・・・・何か打つ手はなかろうか、少々のことは犠牲にするよ
抑うつ・・・・・・やっぱ駄目か 落ち込み気分
受容・・・・・・・まあ いいか どうせ 人間、最後は、死ぬのだし

“汎適応症候群”の経過と とてもよく似ています。

つい、「“汎適応症候群”の警告反応期が、キューブラ・ロスの否認と隔離か、じゃあショック期→反ショック期は、どう あてはめたら いいのかな」などと考えてしまいます。
しかしそうした、細部に拘る思考ではなく、全体の流れを捉えるととてもよく似ているのです。

つまり、外からのストレッサーに曝された時、生物は、ただ やられっぱなしではなく、様々に反応し、時間とともに変化していく。
そうした 反応を 多数例で 観察すると、共通の経過を辿ることが 見えてくる。

身体の観察(血圧、脈、血液データなど)から見えてくるもの。
心の観察(対話による)から見えてくるもの。
この両者はとても よく似ているということです。
  


Posted by 杉謙一 at 06:59Comments(0)養生

2010年04月27日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-7

日常会話で、よく使っている“ストレス”は、外力というより、イジメとか、親子関係とかなどの 人間関係の軋轢から起きるメンタルな問題ではないのかという疑問です。
“心身の問題”という表現で言えば、“身”ではなく、“心”が、思い浮かぶのです。
ストレス問題では。

この問題を考える上での題材があります。
「死ぬ瞬間 死にゆく人々との対話」という1冊の本です。
精神科医であるキューブラ・ロスが、シカゴ大学病院で200人の末期がん患者にインタビューし、まとめたものです。
40年以上前のことです。
当時は、“がん”は死病であり、末期がんの人には、医療者は、対話のきっかけもない 自然に足が遠のくという時代だったのです。
特に、医師な場合は。
直せない病気に、どうしていいかわからない。
ホスピス的なケアは、宗教者の担当でした。

こうした時代、末期がんの人と眼を合わせて、向き合い、対話したキューブラ・ロスの仕事は画期的なものでした。

末期がんであることを、告知された人々は、一人一人の事情の違いにも関わらす、或る共通の経過を辿ることを、見出したのです。
あたかも、“汎適応症候群”のように。
  


Posted by 杉謙一 at 06:58Comments(0)養生

2010年04月26日

◆養生の実際 ストレッサー 1-6

以前、
『転倒して骨折した時、「ストレスで骨折しました」とは、言いませんね。』と書きました。
このことを、考えてみます。
ストレスで骨折したわけではありませんが、骨折自体は、強力なストレッサーです。
骨折というストレッサーに曝された人には、ショック期から、始る一連の反応 つまり“汎適応症候群”が生じるというのです。
ストレッサーは骨折であろうが、火傷であろうが、種類を問わないというのが、ミソで、“汎”のもう一つの意味かもしれません。
つまり、ストレッサーの種類を問わず、誰に生じたかを問わず、同じような経過を辿るということです。

近代の精神は、一見 異なっているものに共通した原理を、見出すと高く評価します。
食べものとカロリーの関係とよく似ています。
飯50gも食パン30gも卵1個も すべて80kcal であるという原理を高く評価するのです。

それは良いとして、ストレッサーの具体例として、骨折と火傷を示したことに少し抵抗感がないでしょうか。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:18Comments(0)養生

2010年04月24日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー1-5

1)警告反応期  ショック期→反ショック期
2)抵抗期
3)疲弊期
以上のような経過を辿るというのです。

ストレッサーが加えられる→生物(ヒトも生物です)はの生命活動は、抑制され低下する→混乱からの立ち上がり(血圧・血糖の上昇など)→ストレッサーに対してしっかり拮抗する(抵抗期)→長くストレッサーに曝されると疲弊して、様々な障害が出てくる(疲弊期)

考えてみると、この経過は、私達の日常経験とよく合致しています。悪いニュースに曝された時に私達の心が辿る経過を考えてみると
まさか! 嘘だろう。→どうしてこんなことに、と怒り→何とかしようと策を練り→連続的に悪いニュースに曝されると、ついに落ち込む
こんな経過を辿るのではないでしょうか。
こうした心で経験する経過が、身体でも同様なに生じていることを、動物実験で示したのです。
①血液中の化学物質(ホルモンや血糖など)の変動や ②生体指標(血圧、脈拍など)の変動や ③動物に生じる病気を通して。
この、一連の経過が、“汎適応症候群”なのです。
  


Posted by 杉謙一 at 06:57Comments(0)養生

2010年04月23日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-4

“ストレス”を考える時、ハンス・セリエという20世紀の生理学者を外すわけにはいきません。
セリエは、ストレッサーに対して、ストレス反応が生じること。ストレス反応は、ストレサーのいかんに関わらず、共通の経過を辿ることを示したのです。
セリエは、この反応を“汎適応症候群”と名づけました。とたんにとっつきにくくなるネーミングですが、“汎”は、誰にも広く見られるに意味。“適応”は。ストレッサーに対するストレス反応の意味です。
勿論、生理学者ですから、血液中のホルモンの変動等で、この経過を物質的にも裏付けました。
共通の経過とは どんな経過なのでしょうか。
  


Posted by 杉謙一 at 06:35Comments(0)養生

2010年04月22日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-4

“ストレス”を「自分にとって不快な状態」まで、ボカしてしまうと、要はストレスが悪いのだという、同語反復の世界に退化してしまうので、ストレッサー(ストレス因)に注目します。

以前聞いた話です。
ネズミでの実験ですが、ネズミに不快な電気刺激を与えて、ネズミにできる胃潰瘍を観察するという実験モデルです。
もう1段階 工夫された実験モデルは、電気刺激に曝されたネズミの悲鳴を、すぐ隣のカゴで、頻回に聞かされた別のネズミに胃潰瘍ができるかどうかを観察するのだそうです。動物愛護の方からは怒られそうな実験ですが。

結果は、忘れましたが、電気刺激というストレッサーと仲間の悲鳴を頻繁に聞かされるというストレッサーを対比すると、現代社会のストレッサーのイメージが描けます。
直接的な外力ではなく、間接的なのです。従って、ストレッサーに曝された方は、様々な対応を選択することを強いられ、選択に対して、更にストレッサーが負荷されというプロセスが続いていくという感じでしょうか。
その中で、様々な 思いや感情が渦巻くのです。 
この、共通の体験が、「ストレスね わかる、わかる」という言い方を支えているようにも思うのですが。
  


Posted by 杉謙一 at 17:46Comments(0)養生

2010年04月21日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-3

“食生活”や“身体活動”で書いたように、食べ物や体脂肪を、エネルギー(カロリー)という物理量に還元して納得するというのが、近代の精神かもしれません。
爆発熱量計で食物のエネルギーを測定したラボアジエがフランス革命の時代を生きた人であったことが思い出されます。
食べるとか、太るとか、歩くとかの日々の生活の一コマ、一コマが、エネルギー物理量に還元され、そうした考え方が、近代―現代を生きる私達に、当然の前提として、組み込まれたのです。
こんな 流れで考えると、元来、物理も用語であった“ストレス”が、日々の生活で、広く使われるようになったことは印象的です。
食べ物や体脂肪が、川を遡って、エネルギーという物理量に辿り着いたのに対して、ストレスという物理の領域の概念が、川を下って、現代人の一人一人の、日々の経験を表現する用語として、拡がったというような。
“ストレス”という言葉は、1990年代になって、盛んに使われるようになったとのことですが、最近では、「自分にとって不快な状態」の意味で使われているようにも思えます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:13Comments(1)養生

2010年04月20日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-2

“ストレス”は元来、物理学の用語だったようです。外から加わる力―外力 です。
この外力が、“ストレッサー(ストレス因)”。
外力に対して、ヒトに生じる反応が“ストレス反応”。
この一連の過程を一口で表現したのが“ストレス”。
このように整理できると思います。

物理的力となれば、外力で骨が折れるとか、刃物で刺されて傷を負うとかが、わかり易いイメージかもしれません。
しかし、転倒して骨折した時、「ストレスで骨折しました」とは、言いませんね。
元来の意味から、次第に変遷する中で、一般化し、あちこちで使われるうちにごった煮状態になった“ストレス”なのです。
この問題は、“食生活”や“身体活動”で考えてきたことと 繋がっているように思います。
次回、考えてみます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:54Comments(0)養生

2010年04月19日

◆養生の実際 ストレスとストレッサー 1-1

養生の実際で、これまで、食生活と身体活動を通して、養生の実際を考えてみました。どうしても次は、「こころの養生」ということになります。
「こころの養生」というと、一昔前の、話のようで、ピンと来ませんが、ストレスの問題です。

ある診察室の会話。
医師:「鈴木さん、血液検査の結果を見ると、血糖コントロールもう一つですね。生活習慣の方は、どんな具合ですか。食生活とか身体活動とか。」
鈴木さん:「いやー とにかく、ストレスでね、ストレスをどうかしないと、ままなりませんよ。」
医師:「ストレスねぇ・・」

ある健康情報番組での、キャスターの言葉。
「この番組で、色んな健康情報を取り上げてきましたが、つくづく 思うのが、結局 ストレスが諸悪の源だということですよね」
そうだ そうだ と肯く一同

“ストレス”で、なんとなく 納得してしまうのですが、「養生の実際」の観点から、考えていきます。言葉の使われ方として、ごった煮状態の“ストレス”を見直すため、ストレスとストレッサーを区別するこら始めます。
次回に続きます。  
  


Posted by 杉謙一 at 06:58Comments(0)養生

2010年04月17日

◆養生の実際 身体活動1-17

「健康づくりのための身体活動」では、週23エクササイズの 活発な身体活動を提唱しています。
この場合、“活発”とは、3メッツ以上(3メッツは、例えば、1分間100歩程度の歩行)の“運動”や“生活活動”をさします。
“生活活動”とは、通勤で歩く、自転車で買い物に行く、子供と遊ぶ 等です。
但し、週23エクササイズのうち、4エクササイズは、活発な運動を取り入れたいということになっています。
例えば、19エクササイズは、日々の通勤の時の歩行、4エクササイズは、週2回、ジムで汗を流してというイメージです。
体重74kgの田中さんが、従来、3メッツ以上の身体活動が、殆ど ゼロの生活をしていたとします。
数ヶ月かけて、「健康づくりのための身体活動」を達成したとします。
週23エクササイズの身体活動です。
すると、1週間で、23×74×1.05=1781キロカロリーの消費。1ヶ月を4週間とすると、約7000キロカロリーの、エネルギー支出 つまり 体脂肪1kgの燃焼ということです。
身体活動によるメタボ対策の実際です。
田中さんは、実行できるでしょうか?
次回からは、ストレスースとトレッサーについて 考えます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:26Comments(0)養生

2010年04月13日

◆養生の実際 身体活動1-16

管理栄養士:「結局、メッツで、示された身体活動の強さに、持続時間を組み込んだ訳ですよね。エクササイズという単位は。他方で、酸素1Lが5kcal、ということは、酸素200mlg が 1kcalというのが、分かっていますから・・・」
田中さん:「1メッツというのは、体重1kg あたり 1分あたり 3.5mlの酸素消費量だったね。」
管理栄養士:「そうです。」
田中さん:「 ということはだな、3.5÷200 で 1ml あたりのカロリーだろ、これに60をかけると、エクササイズに変換できる、3.5÷200×60=1.05 か。これには、まだ 体重が変換されてないから、  結局、エクササイズ×1.05×体重(kg) で カロリーを算出できる訳だ。」
管理栄養士:「 見事に説明してもらいました。例えば、体重74kgの田中さんが、お孫さんと 御免なさい! まだ お孫さんはおられなかったですね。」
田中さん:「姉の孫はおるがね。3歳の男の子で腕白盛りだ。」
管理栄養士:「その お姉さんのお孫さんと30分遊ぶと、約2エクササイズの身体活動になるので・・」
田中さん:「2×74×1.05 で 約155kcal カロリーを消費したわけだ」
数字に強い田中さんでした。
  


Posted by 杉謙一 at 06:46Comments(0)養生

2010年04月12日

◆養生の実際 身体活動1-15

管理栄養士:「 “身体活動”という以上、ある程度活発な、動きではないと認めないことになっています。つまり3メッツ以上のもの、具体的には、1分間100歩程度で歩くとか、バレーボールとかなどです。」
田中さん:「時々、チワワを散歩に連れて行くんだが、あちこちで寄り道して、10分もたつと帰りたがるんだが、これは 身体活動とは 言えないというわけだな」
管理栄養士:「その 通りです。田中さん」
管理栄養士:「さらに、ややこしい ことを 言って 申し訳ないのですが、“エクササイズ”という言葉があります。 “メッツ”に時間を組み込んだ単位です。」
田中さん:「 また 新しいカタカナ言葉だな」
管理栄養士:「 1メッツを1時間維持すると、1エクサイズと定義しています。2メッツを30分維持しても1エクサイズ」
田中さん:「 ということはと・・、メッツに持続時間(分)をかけて、60で割れば、エクササイズになるということだな」
管理栄養士:「 本当に、田中さん 数字に強いですね。」
田中さん:「 まあね。」
田中さんも 管理栄養士から、称賛されて、悪い気分ではないようです。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:43Comments(0)養生

2010年04月10日

◆養生の実際 身体活動 1-14

管理栄養士:「そこでですね、田中さん。実は、この酸素消費量は、カロリーの支出量を示しているのです。つまり 結果的には 体脂肪が燃えて、体重が減るということですね。」
田中さん:「ホー」
拝聴する田中さんの姿に 管理栄養士も 思わず力が入ります。
管理栄養士:「酸素1Lを消費すると5kcal の エネルギーが、燃えるとされています。」
田中さん:「そうすると、体重60kgの人が、2メッツの状態を60分続けると、エーッと
3.5(ml)×2×60(分)×60(kg) ÷1000で 25.2Lの酸素だよね。それに1Lの酸素が5kcalだから、・・・、25.2×5=126 つまり126キロカロリーを消費したという訳か」
管理栄養士:「凄い! 田中さん、ただここで、もう一つ 押さえておいていただきたいのです。」
田中さん:「何かね、それは。」
お互いの活発なやりとりで 調子の上がる二人です。
  


Posted by 杉謙一 at 06:18Comments(0)養生

2010年04月09日

◆養生の実際 身体活動1-13

管理栄養士:「楽に座っている時の、酸素消費量は、ほぼ 一定だということがから出発します。」
田中さん:「酸素消費量?」
管理栄養士:「呼吸していますよね。田中さん。呼吸をしているというのは、酸素を取り入れて、2酸化炭素を排出している ということですよね。」
田中さん:「そういうことだろうな。小学校で習ったね。」
管理栄養士:「取り入れた酸素量が、酸素消費量なんです。体重1kg あたり、1分間に3.5mlの酸素を消費しているのです。楽に座っている時はね。」
田中さん:「 『体重1kg あたり、1分間に3.5mlの酸素』? どうしてことわかるんだ」
管理栄養士:「マスクとてけて貰って、吐いた空気と吸った空気を分析して、酸素消費量を実測するんですよ。楽に座っている、たくさんの人を測定して、体重1kg あたりに 1分間あたりにしてみると ほぼ3.5mlの酸素を消費しているのです。」
田中さん:「フーン」
遡って、理詰めの説明をすると、素直に受け入れる田中さんです。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:01Comments(0)養生

2010年04月07日

◆養生の実際 身体活動 1-12

田中さん:「そしたら、僕の基礎代謝は、約1500kcal なんだ。ということは、この1ヶ月基礎代謝量の食事で頑張ってきたわけだ。それでいて 体重は減らない。どうしてかね?」
管理栄養士:「結局、運動不足じゃないんですか、田中さん。最近では、身体活動と言っていますが。」
田中さん:「それは言えるかもしれんね。とにかく 仕事で追いまくられて、9時過ぎに帰って、メシ食って寝るという毎日だからね。」
管理栄養士:「大変な毎日ですね。しかし、身体活動は、是非 取り入れていただかないと。厳しい仕事を乗り切る為にも。」
管理栄養士:「ところで 田中さんは、いろいろと 食事のことも 詳しいようですが、“メッツ”という言葉はご存知ですか?」
田中さん:「何だね、またカタカナ言葉だな。初耳だよ。」
管理栄養士:「身体活動の活発さを、示す尺度なのですよ。例えば、ゆったりと座ってくつろいでいる時は、1メッツ、立っていると2メッツ、普通に歩いていると3メッツ とまあ こんな感じです。」
田中さん:「そのメッツがどうしたんというんだ。」
管理栄養士:「1日 24時間のうち、あちこちで活発にして、メッツを上げるような日々の生活を組み立てると、カロリーの支出が多くなって、結果的に、体脂肪が減るんですよ。」
田中さん:「前も、早足歩きとかを 言っていたね。 メッツを上げる生活か・・。でもそのメッツとかは、そもそも どう定義されているのかね。そこが、分からんと なにか 誤魔化された感じがするよ。」
表面を、さっと なでた説明では、納得しない田中さんです。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:00Comments(0)養生

2010年04月06日

◆養生の実際 身体活動 1-11

“日本人の食事摂取基準”は、特に食事療法を指示されていない、健康もしくはほぼ健康な、普通の日本人が、「何をどの程度食べたらいいか」を示した基準です。
最近、2010年版が、公表されました。
エネルギーと34種類の栄養素について基準を定めています。
エネルギーについては、基礎代謝基準値(これまで書いてきたビーに相当します)を定め、身体活動レベルを考慮して、必要なエネルギーを推定するという組み立てになっています。
どう考慮するのか。
身体活動レベルを Ⅰ低い Ⅱふつう Ⅲ高い と三つに分類します。例えば 「Ⅰ低い」の人は、“基礎代謝基準値×1.5”を、“推定エネルギー必要量”にしようという考えです。
では、“Ⅰの低い身体活動レベル”とは、実際は どんな生活なのでしょうか。
“3メッツ”以上の身体活動が、1日 1時間未満の生活をおくっている人だということになっています。
3メッツ?
次回、田中さんと管理栄養士の次回の面接を覗いてみます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:41Comments(0)養生

2010年04月05日

◆養生の実際 身体活動 1-10

“食事誘発性熱産生”というのは、代謝してエネルギーを生産するのに要するコストです。
エネルギーの素となる3大栄養素で、それぞれに“食事誘発性熱産生”が定められています。
蛋白質30% 糖質6% 脂質4% だとされています。数字が高いほど高コスト栄養素である、つまりエネルギー効率が悪いということです。糖質と脂質は炭素、水素、酸素から構成されていますが、蛋白質には窒素が含有されており、その処理がややこしそうだから、エネルギーを生産するのに効率が悪そうだというのは、直感的にも理解しやすいですね。
食べて、一番スムースにエネルギーになりそうなのは、糖質のように直感しますが、上記のデータによれば、脂質だということになります。なにせ体調が悪いと炭水化物の御粥に頼ろうとする日本人です。
糖質と脂質の“食事誘発性熱産生”は、僅かの差に過ぎませんが。
いずれにしても、3大栄養素を様々な配分で摂取して、エネルギーを産生している私達なのです。
呼気分析から、酸素消費量を実測し、間接熱量測定法でREE(リー)が確定されるのです。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:37Comments(0)養生

2010年04月03日

◆養生の実際 身体活動 1-9

間接熱量測定法は、ヒトが呼吸して、吐き出す呼気を分析して、消費したエネルギーを推定しようという考えです。
測定するものは、酸素、二酸化炭素です。さらに、尿中の窒素も測定に加える方法もあります。
焚き火で熱が出る(近年、見ない光景ですが)のも、ヒトの体内で食べ物が代謝されるのも、原理的には、同一の現象と考えます。そうすると、酸素が燃えて二酸化炭素になるという“燃焼”という同一の現象ですから、ヒトの使用する酸素と生産する二酸化炭素を測定すれば良い。ヒトの吐く息を分析して というわけです。
酸素の消費量が間接熱量測定での主因子で、酸素量だけで、熱量を類推する簡易法もあります。
酸素1Lを消費すると約5kcalの熱が生産されるとされています。
もっと精密な方法では、①酸素の消費量 ②二酸化炭素の排出量 ③尿から排泄される窒素量 を実測して、計算式で算出します。
③の窒素量は、以前書いた“食事誘発性熱産生”と絡んでいます。
蛋白質は、カロリー源として、効率が悪いという話です。
どういうことでしょうか?
  


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2010年04月02日

◆養生の実際 身体活動 1-8

測定法は、直接熱量測定法と間接熱量測定に大別されます。
直接熱量測定法は、ヒトの全身を大型の測定装置に入れて、身体からの熱の放散と吸収を直接測定する方法です。例えば、その熱を水温の上昇として測定できる装置です。こうした考え方は、食生活のところで書いたラボアジエによる爆発熱量計を連想させます。
ヒトをモノと見做してしまうこと。モノが燃えて水温が上昇するというモノとしての物理的現象に還元して、ヒトを視る考え方です。
しかし、放散された熱が、なんでヒトの細胞で利用された熱を示すのでしょうか。
半分は放散され、半分は細胞で利用されるという考え方のようです。従って、放散された熱は、ヒトの細胞で利用された熱を反映していると考えます。
しかし、放散された熱が、ヒトの細胞で利用された熱を反映するというのは、言わば影を見て入るとも言えるのかもしれません。
更に、こうした 装置を作るのは、コスト的にも困難なので、直接熱量測定法は、実際には、行なわれていないそうです。
カロリー原理主義の カロリーの出の基本となるBEE(ビー)やREE(リー)は、意外と頼りないものかもしれないと思わせます。
では 実際に行なわれている間接熱量測定とはどんなものなのでしょう?
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:01Comments(0)養生