2010年02月21日

◆医療の現在 生きる力 20

医師の頭に“サルトジェネーシス(Salutogenesis)”という言葉が浮かんできました。
最近、知った言葉です。“健康生成論”と訳されているそうです。
対義語に“病因論”があるとのことでした。
病気を引き起こす原因に焦点を合わせる(病因論)のか、病気を修復しようとする力に焦点を合わせるのか(サルトジェネーシス)。

病因を自然科学的に解明する、現代医学の日進月歩。
0.1ミクロン前後という、肉眼では、とても見えないインフルエンザウィルスの生物学的特徴を解明し、ウイルスの増殖に必要なノイラミニダーゼという酵素を阻害する薬(タミフル)を、合成するまでに 進歩した現代医学・医療。
専門家以外には、よく分からない世界です。とにかく専門家に頼らないという不安が起こります。
例えば、インフルエンザに罹患して、タミフルを飲まないと、まったく展望はないというような思い込み。

また、一転して、代替・補完・伝統医療への傾斜。
例えば、ホメオパチー(類似療法)への傾斜。
インフルエンザには、ゲルセミウム(イエロージャスミン)というレメディでと言った。

もしくは、外から介入されることへの 反発。“自然治癒力”への傾斜

結局、所属した陣営の旗印を掲げて、相手陣営の非を論う応酬。
治る力を励起する引き金は なんなのだろう。

多忙な外来で疲れていた自分(医師)、気力が低下していた野村さん、老人ホームの看護師 3人が診察室にいて、こうして“場”が形勢され、そこでの遣り取りがあり、生きる力が励起した野村さん、多忙な外来の疲れが緩和した医師、専門職としての存在意義を再認した看護師。 

「多分 引き金は 様々なのだな。多分その時々で変化する。偶然と出会いを大切にして、一瞬の機会を旨く捉えて、そのためには、1回、1回の診療を丁寧に遂行し、防衛的にならず、・・・ウンウン・・」
次第に生きる力が湧いてきた医師でした。 (終)


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Posted by 杉謙一 at 10:00│Comments(0)レッスン
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