2010年01月25日

◆医療の現在 生きていく力 11

2週間に1回の野村さんの通外来診療は、最後に次回外来についての確認が繰り返されるのが常でした。
「2週間後の火曜日は、2月11日だけど、建国記念日で祭日だから、12日になるから、薬は15日分で・・・」と野村さん主導で、スケジジュールと残薬の確認がおこなわれるのです。
診察室の前方には、大きい活字のカレンダーが掛けてあるのですが、外来の喧騒の中で、医師は、時に期日の勘違いをしていましたが、野村さんの時は、ただちに間違いを訂正してもらえるので安心でした。
“写真のような記憶”という言葉があるそうです。頭の中に1枚の写真のように画面が刻印され、必要に応じて情報が取り出せる、特殊な才能のことです。
野村さんは、“写真のような記憶”を持っているようでした。
勿論、インスリン自己注射をしながら糖尿療養を続けることへの意欲から生じた、記憶力でしょうが。
しかし、元来 記憶力が良かったことは間違いないでしょう。
時々、医師は、思うのでした。
「野村さんは、現代に生まれたら、世の中で、そこそこの仕事をしただろうな、この意欲と記憶力でもって」と。

次回に続きます。


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Posted by 杉謙一 at 07:13│Comments(0)レッスン
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