2010年01月23日

◆医療の現在 生きていく力 10

野村さんの使用している、“高齢者用ペン式注射器”は、使い捨てタイプです。
インスリン液がなくなると、新しい注射器を使用するのです。注射器には3cc すなわち300単位のインスリン液が、入っているのです。
朝、夕2回の試し打ちを計算に入れると、野村さんは毎日24単位のインスリンを使用することになります。つまり12日で、ほぼ使い切る計算です。
普通は、注射器のインスリン残量を見て確認するのですが、野村さんの場合は、それが不可能なのです。誰かに見てもらうといっても毎日2回のことです。やはり、自分でできるにこしたことはありません。

この課題を解決したのは、野村さんの記憶力でした。
入院中、音で単位を数えるという新しい方法を練習している時、野村さんに、「今日でインスリン液なくなるやろ」と言われて、注射指導担当の看護師が見ると、その通りということがあって、看護師も医師も野村さんの記憶力に驚いたのです。
医師も、「野村さんの頭には、カレンダーが組み込まれているんだね」と、冗談を言ったほどです。

こうして、野村さんは、音で単位を数えるというインスリン自己注射法をマスターして、退院されたのです。
再び、高齢者アパートでの暮らしが始り、2週間に1回の外来受診となったのです。
次回に続きます。


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Posted by 杉謙一 at 06:03│Comments(0)レッスン
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