2009年12月26日

◆医療の現在 老いて、丸く。

70代前半の頃の木村さんは、不整脈が、頻繁に 出ていました。
心室性期外収縮という不整脈で、多くの場合、問題ないと言われている不整脈です。
しかし、木村さんにとっては、とても気になる症状で、時には、このまま心臓が止まってしますのではないかという恐怖感がこみ上げてくるのです。

「先日、救急車で、循環器専門病院に駆けつけて、一泊入院しました。」という報告があったり、数ヶ月 顔を見ないなと思っていると、突然、外来受診され、別の循環器専門病院に、暫く通院していました。薬も少し変わりました。見てください といった調子なのです。
医師としても、ない知恵を絞り、医学的専門知識も調べ、自分なりの理解で 説明していたので、木村さんが、独自の判断で、様々な病院に、行かれることに 不快な感情を持ちました。

“wander” という 英語は あてもなく動き回るという意味だそうですが、 医師同士の業界用語的な言葉で、“ワンダリング”というのがあります。
自分な判断で、様々な病院をさまよい歩くという意味で、そうした患者の行動を揶揄するようなニュアンスがあります。
木村さんの 受療行動は、当時の医師にとって、まさしく“ワンダリング”に見えたのです。
動悸を中心としながらも、木村さんの身体症状の訴えは、足先から、頭にまで及び、医師にとって、まさしく “タフ ペイシャント”でした。
「もう いい加減にしてください」と、口から、出そうになるのですが、これは医師にとっての禁句なので、紹介状も持たずに あちこち受診することの不都合(不十分な病歴で診察される)を説教したり、無愛想な対応をしたり、遂には他の患者の診察で時間がないと退避したりしたものでした。
次回に続きます。


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Posted by 杉謙一 at 06:04│Comments(0)レッスン
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