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2009年10月06日

◆医療の現在 血液サラサラ再考 9

殆どの方が、血管(静脈)に針を穿刺して、採血された経験をお持ちだと思います。
普通、採血された血液は、試験管に入れて、立てておき、30分 室温においておきます。30分後には、血液は2層に分離します。
赤血球をはじめとする細胞成分は重いので下降するのです。
上半分が、黄色の血漿ですが、ゼリー状にブヨブヨ固まっています。
これが、フィブリンで血液が凝固した状態なのです。
フィブリンは繊維状の蛋白質で、これが網目のように拡がって血漿をゼリー状にしたのです。

繊維状のフィブリンが形成されるまでの過程がとても複雑で、約12種類の血液凝固因子
が連鎖的に反応してフィブリン形成に到るのです。
12種類の血液凝固因子のうち4種類を合成するのにはビタミンKが必要です。
100万人以上の方が服用しているワーファリンは、ビタミンKの作用を妨害して、フィブリンが形成を妨げるのです。
“抗凝固剤”と呼ばれています。

血液の流れがよどんだ部位(心臓がバラバラに拍動している心腔内とか、静脈とか)では、試験管に入れた血液と、同様の連鎖が発生して、フィブリン血栓が、心―血管の中にできてしまうという話です。
他方、勢い良く流れていく、動脈内腔では、血管の微小な傷に血小板が粘着することをきっかけとして、血小板血栓→フィブリン血栓ができてしまうという話です。

従って、動脈に血栓ができるリスクの高い方は、医師から、血小板の働きを弱める薬を勧められます。
“抗血小板剤”と呼ばれます。
代表的な薬がアイアスピリンで約300万人の方が服用しているということです。

“抗凝固剤”と“抗血小板”を合わせて、“抗血栓剤”と呼んでいます。
医療の場で血液サラサラと言われている薬です。

怪我→出血→出血死していた、時代では、血液サラサラの薬は寿命を縮める薬であることは言うまでもありません。

現代での出血は、不慮の怪我もさることながら、医療的処置→出血も問題です。
抜歯、手術、胃カメラでの組織の生検など。
抗血栓剤を飲みながら、出血せざるを得ない医療的処置・手術を受ける・・・・。
なかなか苦しい状況です。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:23Comments(0)診療の徒然に