2009年04月30日

◆医療の現在 メタボ考 5

当然、蓄積した腹腔脂肪を減らすことに焦点を当てています。
これによって、諸悪の根元が,断たれるので、因果的に引き起こされていた、軽度の高血圧、軽度の血糖上昇、軽度の脂質の異常が、複数項目改善されるだろう。
加えて喫煙習慣の禁止も合わせて指導に組み込めば、相当の血管病防止が期待でるだろうという理屈です。

この理屈には、脂肪細胞が、実は、単なる過剰なエネルギーの貯蔵庫ではなく、アディポサイトカインと言われる生理物質を分泌する、一種の内分泌臓器で、そこから、血圧上昇、血糖上昇、脂質異常が惹起されるという、医学的な事実が裏打ちしているのです。

脂肪は、大きく分けて、皮下脂肪と内臓脂肪があり、こうした、内分泌臓器のような働きをするのは、皮下脂肪ではなく、内臓脂肪の脂肪細胞だとされています。
腹腔の蓄積した脂肪とは、内臓脂肪のことなのです。

腹腔の蓄積した脂肪は、本来、腹部のCTスキャナーや超音波などを用いて、測定していたのですが、今回の特定健診のような、巨大な仕組み、すなわち、日本人の40歳以上全員を対象にするという、制度では、とてもそれはできません。
そこで登場したのが、臍の高さで腹囲を測定するという 簡便な方法です。
健診での測定が、簡便だということと、これだと、体重測定と同様、簡単に家庭でできるという利点もあります。

蓄積した腹腔脂肪を減らす→腹囲を減らす と単純化されるわけです。
脂肪1kgを減らすと、腹囲を1cm 減らすことになると 話は、更に分かり易くなります。脂肪1kg・腹囲1cmは、7000kcalのカロリーに相当するという計算です。

夕食後に小振りのショートケーキ1個程度のデザート すなわち300kcal を食べる習慣のあった方が、これを中止すると、1ヶ月で約9000 kcalは、摂取カロリーが減少するので、1ヶ月で、体脂肪1kgは、燃えるし、腹囲は1cm は減りますよ、充分に。という話しです。

従来の、療養指導とは違うのは、まず 自分で目標を設定してもらい、3ヶ月間は継続的に指導し、6ヶ月に成果を評価するという仕組みが組み込まれていることです。
面接、電話、電子メールなどの方法を用いて、時間制でポイントを累積していき、定められたポイトを獲得して、医療機関に報酬が支払われるということです。

あくまで、自分で目標を設定し、自己管理を通して、目標を達成するという話しなので、医療機関の指導は支援とネーミングされています。

一番、強力な支援である、積極的支援は、Aタイプ(従来の療養指導と同じく、アドバイスや更なる努力を求める)で160ポイント、Bタイプ(称賛することでやる気を上げようという支援で、従来の療養指導には乏しかったもの)20ポイントと細かく決められています。
なんとなく 机上の空論のようでもありますが、さて現実にどうなるか。

次回、更に、従来の療養指導と比較してみましょう。


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Posted by 杉謙一 at 21:06│Comments(0)診療の徒然に
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