2008年04月29日

◆医療の現在・近代医学モデル

特定病因論とは原因と結果を1対1で対応させてしまうことだと前回書きました。精神科領域では特定病因論はどういう位置を占めたのか? 前々回でしたか、“興奮してわけのわからないことをいう”という精神症状のことを書きました。身近な人がこうした症状を発現すると周囲は困惑します。特に、夜間であれば、困惑から怒りや動揺になっていくでしょう。精神症状は近代以前、祟りのせいであったり、怨霊の仕業であったりしました。
現代社会でも、こうした考えに吸引される人もいます。前近代的な原因―結果モデルです。こうした解釈を非科学的と一蹴する時代もありましたが、ポストモダンに立つ私達はそうした考えはとれません。
近代医学的モデルでは、脳内神経伝達物質の異常で説明されるかもしれません。近代医学的原因―結果モデルです。高血圧に対して降圧薬を処方し、血圧を測定しながら、薬の量を調節する。
“興奮してわけのわからないことをいう”という症状の程度を血圧を測るように測定し(医師の感覚や周囲の困り具合で)、脳内の神経伝達物質に作用する薬物を調節する。丁度降圧薬を調節するように。こう考えてくると両者の類似点がはっきりしてきます。つまり一見とても違っているように見える精神科と身体科も原因―結果セオリーでみるとよく似ている。一人に焦点を合わせて病気を診断し、その人に介入(言葉、薬、手術等)して、効果を追求する、そして、原因―結果モデルに導かれる。これが骨格で、そこから見ると、身体症状と精神症状の差は決定的なものではないということになります。
本当にそうでしょうか?



Posted by 杉謙一 at 05:49│Comments(0)
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