2010年02月09日
◆医療の現在 生きていく力 16
後期高齢者(75歳以上)を、たくさん診ている医者同士で、時々、話題になるのが、この問題でした。
お迎えを待っているとか、長生きしすぎたとか の感慨を表白した直後に、血圧への不安を口にする、矛盾についてです。
医者同士の、会話では、
「でも、舌の根の乾かないのに、血圧が高いと心配するんだから」
「そうそう」 (笑い)
で終るのが常でした。
医師は、(笑い)で終わる会話に、一緒に笑いながらも、他方で、違和感を感じていました。
笑っている自分が、別の次元に設定されているように思われて。
野村さんとの 診察室での 遣り取りで、“違和感”の正体が、次第に分かってきたのです。時間をかけながらですが。
この矛盾に、医療の勘所があるということに。
少し考えれば、最後には、同じく死が訪れる個体に、介入して、死を先延ばししようと 頑張っているのが、医療の実際です。
高血圧に介入するのも、死を先延ばしすることを目指しているのです。
先延ばしの行き着く所が、確実な死であること。誰にも同じく訪れる。
実は、医療自体が、矛盾を孕んだ試みなのです。多分、ヒトの歴史と同じ程度の歴史を持つ矛盾を孕んだ試みなのです。
早くお迎えが来て欲しいと言いながら、その舌の根も乾かないうちに、高い血圧値への不安を吐露する98歳の野村さんは、医療とは何かを顕しているのです。
次回に続きます。
お迎えを待っているとか、長生きしすぎたとか の感慨を表白した直後に、血圧への不安を口にする、矛盾についてです。
医者同士の、会話では、
「でも、舌の根の乾かないのに、血圧が高いと心配するんだから」
「そうそう」 (笑い)
で終るのが常でした。
医師は、(笑い)で終わる会話に、一緒に笑いながらも、他方で、違和感を感じていました。
笑っている自分が、別の次元に設定されているように思われて。
野村さんとの 診察室での 遣り取りで、“違和感”の正体が、次第に分かってきたのです。時間をかけながらですが。
この矛盾に、医療の勘所があるということに。
少し考えれば、最後には、同じく死が訪れる個体に、介入して、死を先延ばししようと 頑張っているのが、医療の実際です。
高血圧に介入するのも、死を先延ばしすることを目指しているのです。
先延ばしの行き着く所が、確実な死であること。誰にも同じく訪れる。
実は、医療自体が、矛盾を孕んだ試みなのです。多分、ヒトの歴史と同じ程度の歴史を持つ矛盾を孕んだ試みなのです。
早くお迎えが来て欲しいと言いながら、その舌の根も乾かないうちに、高い血圧値への不安を吐露する98歳の野村さんは、医療とは何かを顕しているのです。
次回に続きます。
Posted by 杉謙一 at 06:17│Comments(0)
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