2009年10月16日

◆医療の現在 古くて新しい問題 酒。 3

肝臓病”というと、以前は「酒の飲みすぎ」と一蹴されていた時代もありました。
せいぜい50年前です。
B型肝炎ウィルスの発見以降、A型肝炎ウィルスの発見、約20年前のC型肝炎ウィルスの発見で、「肝臓病」についての知識・医療は飛躍的に進歩しました。

それとともに、“怖い肝臓病”即ち肝硬変や肝臓癌に繋がる“肝臓病”は、大部分がウィルス性だという認識が、社会一般に共有されるようになったのは この10年です。

“怖い肝臓病”の8割がウィルス性、残り2割が昔からのアルコール性というのが数年前までの一般の医師の認知でした。
ところが、数年前から、肝臓専門医から“非アルコール性脂肪肝炎”という知識が提唱され、肝臓病の一番新しい話題として、最近、持て囃されています。

酒も飲まず、ウィルスもないのに肝臓に脂肪が沈着して脂肪肝になった挙句、肝硬変→肝癌 のコースを辿る方が散見されるというのです。
この時の“酒も飲まない”という内実が25mlのアルコール アサヒス-パードライ500mlなのです。
即ち、健康障害がまず起こらないと医師が保証するアルコール摂取量だというわけです。

ご存知のように、アルコールによる健康障害は、肝臓だけではありません。
すい臓、心臓、血管、骨、神経さらには脳と多岐にわたりますが、多分、25mlのアルコールは、どの部位を考えても、健康障害を生じない量なのでしょう。
アルコールをうけつけない体質の人は別として。

ところで、一般の人が診察室で医師とむきあう時、
患者:「先生、酒は飲んでいいですか?」
医師:「酒? 適量ならいいですよ」
と打てば響くような即答が返ってこないのではないかという印象があるようです。
飲酒の許可を出したとしても、医師はしぶしぶ出してるというイメージです。
何故 そういう印象を持つに到るのでしょう。

次回に続きます。


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Posted by 杉謙一 at 07:12│Comments(0)診療の徒然に
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