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2011年01月10日

◆食生活3-12 ミネラル

実は、カリウムは薬のもなっているのです。
カリウム製剤と言われるモノで、体内のカリウムが低くて、病的状態になった人に投与します。
例えば、グルコン酸K錠5mEqという錠剤があります。
この錠剤は、190mgのカリウムを含有しています。

ということは、この錠剤5錠で、950mg 。 ということは 100%野菜ジュースのカリウム780mg より 少し多いのか・・。という話です。
普段 何気なく食べているものに含有されているカリウムが ギュッと濃縮され錠剤となると薬?
そもそも、薬と食品は、どう違うのかという疑問につながります。
そういえば、医食同源という言葉もありました。
本来、食事として 食べていたものから、時代とともに分化してきたのが、薬なのか?

食品衛生法第二十一条に以下の文言があります。
「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品および医薬部外品は、これを含まない」

つまり、普通 口から獲るモノ(経口摂取するモノ)は、「食品」と「医薬品」に明確に分けられているのです。
法律の文言では。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 20:37Comments(0)養生

2011年01月09日

◆食生活3-11 ミネラル

某社の100%野菜ジュースの成分表示を見ると、77kcal、ナトリウム100mg、カリウム780mg と記載されています。
前回 書いた2個のオニギリで960mgですから、野菜ジュースの100mgと合わせるとナトリウムは合計1,060mg。
他方、野菜ジュースとオニギリ2個のカリウムを合わせて1,000mgとすると、ナトリウムとカリウムの比率はほぼ1となって、とても良い比率です。
少なくとも、ナトリウムとカリウムの比率に関しては、合格の食事となりました。
以前も書いたように、1日で3000mg のカリウム摂取が勧められているので、その点でも野菜ジュースの780mgのカリウムは魅力的です。

しかし、以前に書いたように、腎機能が低下してくると、事情は一変します。
糖尿病を長く患うと腎臓が傷むことを、ご存知の方も多いと思います。
糖尿病腎症といいます。
第4期の腎不全期になると、カリウム摂取は1日1500mgに制限しなさいとされています。

普通に食事していると1日、2000mgは摂ってしまうカリウムです。
飯1杯 60mg 里芋2個で500mg とりの胸肉180mg などなど 1食で、たちまち1000mgに近づきます。
ですから、カリウム制限食を実行しようとすると100%野菜ジュースはとんでもない食品なのです。
その人の健康状態で、薬にも毒にもなるカリウム。

そう考えるとおおちおち食べることを楽しんでられないじゃないかと言いたくなりますね。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 09:23Comments(0)養生

2011年01月05日

◆食生活3-10 ミネラル

生命の自己調節力が、健常である場合は、問題ないのですが、この調節力が働かなった時、カリウム問題はなかなか厄介なのです。
ナトリウムとカリウムに問題について、両方の多量ミネラルのバランスが問題だという実践的な情報があります。
ナトリウム(mg表示)とカリウム(mg表示)の比率が問題だというのです。
ナトリウム(mg表示)摂取量が、カリウム(mg表示)の2倍を超えないようにしてくださいと。

例を挙げます。
コンビニで、昆布のオニギリと塩鮭のオニギリを買ったとします。
両者で960mgのナトリウムが入っていました。
カリウムの表示はないので、正確にはわかりませんが、商品成分表示表から概算すると200mg弱と思われます。つまり、カリウムの5倍近くのナトリウムが入っているのです。
ナトリウムとカリウムの比率という観点からは、身体によくない食事ということになります。
ちなみに2個のオニギリで、計377キロカロリーですきから、カロリー制限という観点からは、申し分ないということになります。
この食事では、あんまりだというので、100%の野菜ジュースを、加えたとします。
さて どうなるか。
  


Posted by 杉謙一 at 05:54Comments(1)養生

2011年01月02日

◆食生活3-9 ミネラル

「食事摂取基準2010」は、日本人が、栄養素をどの程度 摂取したらよいかを数値として示したものです。
カリウムを見ると、高血圧予防の観点からは、1日3000mgの摂取が好ましいとされています。
現実の食生活では、2,000mgから2,500mg程度 摂取している人が多いとされています。「あと500mg程度は摂取したらどうでしょうか。高血圧の予防に繋がりますよ」という話です。
ちなみに、うんしゅうみかん1個のカリウム含有量は150mg 程度です。
こうして、善玉で、身体に良い多量ミネラルのカリウムですが、医療の現場では、なかなかの曲者として、結構 警戒されています。
なにせ、細胞の電位現象 ということは細胞の生命活動に、直接、関与しているカリウムですから。
健康人では、血液中の濃度も厳密にコントロールされ、いくら摂取しても尿から出て行くので、何の問題もありません。
ただこの調節機構が破綻すると、例えば 腎機能低下で破綻すると話しが変わってきます。摂取したカリウムが尿に出てゆかず、血液のカリウムが上昇し、細胞の興奮に支障が出ることもあるのです。
最悪、心臓が止まってしまう恐れもあるのです。
逆に血液の中のカリウムが低下しても 不都合なので、医療現場には、カリウムの注射薬も準備されています。
ところが、この注射薬を、急速に静脈に注入すると、急速に血液中のカリウムの濃度が上昇して、心臓の収縮に支障が生じることもあるのです。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 21:19Comments(0)養生

2010年12月05日

◆食生活3-8 ミネラル

ナトリウムが血圧を上昇させるミネラルとして、減塩が強調されているのと反対にたくさん取ることで、血圧を下げるように働くということで、登場するのが、カリウムです。

多量ミネラルの一つでヒトの中には、150g前後のカリウムが存在します。殆どが細胞の中に存在しています。
60g存在しているナトリウムの倍以上です。

多量ミネラルの代表であるナトリウムとカリウムですが、細胞の興奮でもこの二つのミネラルが重要な役割をしているとされています。
生命現象を、1個の細胞に還元して、原理的に考えていくのが、近代生物学―近代医学の特徴でした。
例えば、筋肉の収縮とか、神経系を情報が伝わるといった現象も1個の筋細胞や、1個の神経細胞の興奮に還元して理解するのです。
細胞の内外で電位差が形成され(膜電位と言います)、そこに活動電位が生じて、細胞が興奮するというように。
この電気的変化の担い手の一つがナトリウムとカリウムなのです。
細胞内から、ナトリウムが汲み出され、他方、カリウムは細胞内に汲み入れられ、結果的に 細胞内はマイナスになるというのが、膜電位。
細胞外のナトリウムが細胞内に流入して、電位が逆転して活動電位が生じ、細胞が興奮するのです。
生命現象の、基本はこの細胞の興奮に還元できるというのです。
医学生が基礎医学である生理学の講義での、最重要の部分なのです。

臨床医学の分野を学ぶ時も、ナトリウムとカリウムは、血圧との関係で、重要なミネラルとして登場するので、医師にとっては、とても印象の強い多量ミネラルなのです。
  


Posted by 杉謙一 at 18:36Comments(0)養生

2010年11月14日

◆食生活3-7 ミネラル

ここで、基本的なことを、復習しておきましょう。
塩分とは、塩化ナトリウム すなわち ナトリウムと塩素がくっついたものです。
食塩が問題だというのは、ナトリウムが問題だということです。
ナトリウムは、多量ミネラルの一つで、一人の身体に60g程度 存在しています。
ナトリウムを 2.54倍すると、塩化ナトリウム 即ち 塩分です。
60gの 2.54倍とは、152.4g。
つまり、一人の身体には、150g程度の塩分が、存在している計算です。
そう考えると、毎日、口から摂る塩分を「1日数g 減らす」というのは、たいしたことではないようですが、将来の健康状態ととても関係が深いとされているのです。
血圧への影響、血管への影響、腎臓、心臓などへの影響、さらには胃がんとの関係まで言われています。
1日2g塩分を減らすと、毎日のことだと1ヶ月で60gですから。

健康増進法で、栄養成分を表示することが可能です。
エネルギー、蛋白質、脂質、炭水化物などが、最初に表示されていますが、ナトリウム
も表示されています。
それだけ、健康との関係が深いミネラルなのです。
勿論、悪玉ミネラルとしてですが。
例えば、いなり寿司弁当を手にとってみると、ナトリウムは2000mg とか2g とかと表示されています。
この場合、その 2.54倍 即ち、約5g超の塩分が入っているということです。

塩分6g・・・。
かなり劇的な変化、コンビニ食品も一変するという変化がないと実現は難しそうです。
なにやり、脳が刻み込んだ塩加減の好みが変化する必要があるようです。
  


Posted by 杉謙一 at 19:43Comments(0)養生

2010年11月07日

◆食生活3-6 ミネラル

時代は変わり、今や女性の平均寿命は85歳を超え、男性も80歳に近いという現在です。
「がん」が死因の第一位ととなり、疾病構造も変わりました。
血管の病気を引き起こす元凶として、血圧だけではなく、糖尿病、脂質異常症も問題となり、それらの元にある、腹部肥満もメタボ(代謝症候群)として話題になりました。
また、喫煙も健康障害の元凶として、槍玉に上がっています。

西暦2000年(平成12年)に、財団法人 健康・体力づくり財団 から「健康日本21」が提案されました。
生活習慣の改善を通して、健康寿命を延伸しようという提案です。
食事、運動、休養(こころの健康)、たばこ、アルコールを取り上げています。
現状(平成12年当時)の数値を、確認し、10年後、即ち平成22年の数値目標を掲げたのが特徴です。
健康や医療の問題が、成果主義的発想で組みなおされるという考えの先駆的なものでした。

「健康日本21」には、塩分のことも記載されています。
現状(平成12年)13.5g → 平成22年の数値目標 10g未満  と。

2009年に日本高血圧学会がガイドラインを発表しました。
そこには、高血圧の人の塩分は6g以下と記載されました。
現在、日本人の食塩摂取量は11g前後とされています。平成12年からは、減っていますが、「健康日本21」の目標には 今ひとつという感じです。
その感覚から言うと、6gというのは キツイのでは・・という反応もあったのですが、最近、減塩への動きは、更に高まっています。

2010年、「塩を減らそうプロジェクト」が、発足しました。
減塩に集中することで、血管障害を効果的に予防できるのではないかという考えです。
高血圧の有無とは 別に、日本人の食塩摂取量を減らして、6g以下したいという方向です。
私は、「たばこ問題」を連想します。
「健康日本21」が発表された、2000年頃から、健康障害防止のため禁煙をいう、うねり
が次第に高まり、たばこを止めようという空気が醸成され、今年、10月の値上げをきっか
けに、雪崩現象のように、禁煙が広がりました。
塩分の問題はどうなるでしょうか。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 17:56Comments(0)養生

2010年10月31日

◆食生活3-5 ミネラル

ある時期まで、塩は貴重品でした。
他方、塩梅という用語に示されるように、塩は味の決め手のひとつでした。
貴重品の塩を潤沢に使った食品が、美味なるものとして、尊ばれた時代もありました。
辛い梅干、塩を効かせたシャケ、一枚で一杯のご飯が食べられると喧伝された塩コブ などなど。

たくさんの米飯を食べることで、知られる東北地方では、1日 25g以上の食塩を取っていた時代でもありました。
60年以上前の時代です。
当時は、結核を中心とする、呼吸器感染症で死亡する人が多い時代でした。
因みに、1947年の平均寿命は、女性53.96歳、男性50.06歳 でした。

その後、結核が減り、栄養の改善とともに、平均寿命が延び始めます。

結核が死因の第一位から姿を消した後、死因として問題になったのが、脳卒中(脳血管疾患)でした。
約30年間、脳卒中(脳血管疾患)は日本人に死因の第一位でした。

疫学、臨床医学の研究の結果、どうも塩が悪いらしいと焦点が絞られてきました。
塩の多量摂取→血圧の上昇→脳卒中 という 道筋見えてきたのです。
こうして、医師―保健師―栄養士 など 医療―行政などが連携し、減塩運動が展開されたのです。
結果的に脳卒中(脳血管疾患)による死亡は、減少し、日本人の平均寿命は、前例がないほど延びました。
因みに、1980年の平均寿命は、女性78.76歳、男性73.35歳 となったのです。

減塩→血圧低下→脳卒中(脳血管疾患)の減少→平均寿命の延び  という成功体験
は、日本で保健―医療に従事する専門家達にしっかり、刻み込まれたのです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 08:00Comments(0)養生

2010年10月25日

◆食生活3-4 ミネラル

食塩の問題は、現代医学と補完代替伝統医療の対立点でもあります。
補完代替伝統医療は、様々な療法を、一括した呼称なので、むつかしいのですが、ある程度の塩は取ったほうが良いと主張する治療家が多いようです。
但し、天然の塩でと条件つきのようです。
ナトリウム以外のミネラルが含まれているから問題ないと、理屈もついています。
他方、現代医療は、減塩を強く主張しています。
食塩を取ること、即ちナトリウムの過剰摂取こそ、高血圧の元凶であるというのです。
更に、過剰のナトリウムは、それ自体、血管を障害するとされています。
歴史的に振り返ると、食塩を作れなかった時代には、食品中のナトリウムしか摂取できなかった。
こうした、無塩食こそ、健康にはいいのだというのです。
例えば、食塩を作れず、従って、食塩を付加しなし食事をしている部族には、そもそも高血圧の人はいない。
このことだけでも、ナトリウムの過剰摂取が高血圧の原因であることは明瞭であると。

そもそも、3億年以上前に、生物が陸上に進出した時、食物のナトリウムしか摂取できなかった。
まさに無塩食であった。
他方、体内では、海の組成の塩水を保持しないと、細胞は生存できない。
従って、ホルモンや腎臓の働きで、体内の塩水を維持する仕組みができていった。
無塩食でも体内の塩水を維持する仕組みです。

生物は進化し、ヒトが出現し、文明が進歩し、食塩を作れるようになった。
ヒトは塩味の魅力を知った。
かくて、強力に塩(ナトリウム)を保持するホルモンや腎臓の働きを保持した状態のままで、無塩食から過剰塩分食に移行した。
ここが元凶だというのです。
高血圧→血管障害 を惹起していると。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:10Comments(0)養生

2010年10月24日

◆食生活3-3 ミネラル

17日、公開した、“鉄が50mg程度ですから、”は間違いでした。
一人のヒトの鉄の総量は3-4g でした。
人体の鉄の含有量は多いのですが、鉄は微量ミネラルに分類されています。

さて、海の中で生命が誕生したことは、ほぼ 現代人の常識になっています。
生命活動が、細胞によって担われていることを考えると、体液という海の中で、細胞が生命現象を営んでいるということです。
陸上に生きるヒトも、実は、身体の中に、太古の海を維持して、そこで細胞達が日々、生命現象を営んでいるのです。

40億年前に誕生したとも言われる生命。
27億年前、真核生物に進化し、海水の中で、進化を続けた生命。
5億7000年前に、多細胞生物が、多種多様に、一挙に出現します。
カンブリア大爆発とも言われる、生命史のビッグバンです。
それから2億年経て、生物は 陸上に上陸します。
この時、海水と同じ体液の中に細胞が浸されているという条件が必須だったのです。
因みに、現在の海水の濃度は3.4%で、私達の体液の0.9%という食塩水の濃度と較べると、かなり濃くなっています。
3億年以上前、生物が、地上に進出した時の海水濃度は0.9%だったとされています。
現在に至るまで、私達 生命の末裔は、太古の海の食塩濃度を、維持しているのです。

このように、生命現象に必須の食塩ですが、健康な食生活の観点からは、現代の日本人は、食塩の摂取過剰であるとされています。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 15:40Comments(0)養生

2010年10月17日

◆食生活3-2 ミネラル

前回 微量ミネラルと多量ミネラルについて書きました。
多量ミネラルにはどんなものがあるのでしょう。
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどです。
ナトリウムと塩素が結合した塩化ナトリウムが、食塩です。
「医者は口を開けば、塩を取るなと言う、耳にタコだ」とこぼす方に時に会いますが、悪玉イメージのナトリウムです。
カリウム、カルシウム、マグネシウムは善玉イメージですが、過ぎたる及ばざるが如しで、病態によっては、中毒を生じることがあるのは、ビタミンの時に書いたとおりです。
例えば、腎機能の低下した方は、厳格なカリウム制限を求められます。

始めに、ナトリウムについて書きます。
ナトリウムは、一人の身体に60g程度は言っています。
鉄が50mg程度ですから、重量にして1000倍も違うのです。
ナトリウムを多量ミネラル、鉄を微量ミネラルと大別するのもよく理解できます。
ナトリウムといわれてもピンときませんが、ナトリウムが塩素と結合した塩化ナトリウム即ち 「食塩」となると、とたんに実感が湧きます。
ナトリウムの重量を2.54倍すると塩化ナトリウムになります。
つまり、人体には、約150gの食塩が存在しているのです。
食塩は、主として、体液中(細胞外液)に溶け込んでいます。
体重60kgの人の体液(細胞外液)は、12L です。すべてが、体液(細胞外液)に溶けているとすると、12Lの水に150gの食塩が溶け込んでいる計算です。
つまり、体液(細胞外液)のベースは、食塩水なのです。

他方、生理食塩水という言葉もあります。
生理食塩水の食塩濃度は0.9%です。
12Lの生理食塩水には、108g の食塩が溶け込んでいることになります。
108gと150gの差は、体液(細胞外液)以外の部分にも、ナトリウムが存在しているからです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:26Comments(0)養生

2010年10月11日

◆食生活3-1 ミネラル

これから微量ミネラルについて、書いてゆきます。
“微量”と書きましたが、“微量”の反対語は“多量”というのだそうです。
多量ミネラル? ピンとこない言葉ですが。

次に、“ミネラル”という言葉ですが、“無機物”と辞書には記載されています。
無機物の反対語は有機物です。
有機物は有機化合物とも言いますが、広辞苑には、“生物に由来する炭素原子を含む物質の総称”と記載されています。
逆に言うと、生物は、基本的に有機化合物から構成されているのです。
筋肉しかり 皮膚しかり。
しかし、有機化合物の中に、微量に存在するミネラルが、不可欠なのです。

例えば、赤血球の主成分である赤色素(ヘモグロビン)です。
微量ミネラルである鉄が不可欠です。
赤色素(ヘモグロビン)は、巨大な有機化合物の、ポイントに鉄が埋め込まれています。
赤色素(ヘモグロビン)の第一の役割は酸素の運搬ですが、酸素は鉄と結合して、運搬されるのです。
山葵がないと刺身の旨さは半減しますが、そもそも、鉄なしには赤色素は用をなさないのです。

もうひとつ例を挙げます。
ビタミンB群の一つのビタミンB12です。
このビタミンB12は有機化合物として複雑な構造をしていますが、真ん中に1個、微量ミネラルが鎮座した構造をしているのです。
その微量ミネラルは、コバルトです。

複雑で巨大な有機化合物と少量のミネラルが協調して、絶妙な機能を発揮し、生命現象を営んでいるのです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:12Comments(0)養生

2010年09月26日

◆食生活2-24 ビタミンと微量ミネラル

結局、抗酸化ビタミンで、癌や血管病を、華々しく、防止するという試みは、成功したとは言えない状況です。
振り返ると、ビタミンの華々しい 過去の業績が 想起されます。
脚気に対するチアミンの効果、
ペラグラ(あれた皮膚)に対するナイアシンの効果、
壊血病に対するアスコルビン酸の効果
これらは、すべて、欠乏症に対して、ビタミンを補うことで、特効薬として奏功したのです。
今や、様々な食品に、ビタミンが付加され、サプリとして飲む人も多く、さらに食事自体が豊かになりました。
日本のような豊かな社会では、ベタミン欠乏症は例外的なことになってきました。

そうした、豊かな社会。
長寿から健康寿命の延伸を 目指している社会に、“アンチエイジング”が登場し、その切り札の一つとして、期待された抗酸化ビタミンでした。
現在までの大規模研究(人体実験)では、期待したほどではなさそうだということでした。
欠乏症に特効的に効いた過去の印象が鮮烈だっただけに、期待感が肩透かしと喰ったということでしょうか。

次回から ミネラルの問題です。
  


Posted by 杉謙一 at 07:09Comments(0)養生

2010年09月23日

◆食生活2-23 ビタミンと微量ミネラル

今、十円玉を投げて、表が出たとします。
表が出る確率は、50%です。
もう一回投げ、再度 表が出たとします。2回 連続して表が出る確率は、25%です。
仮に、5回 連続して。表が出たとします。確率は3%です。
つまり とても珍しいことが 起こったわけです。
そうすると、この10円玉には、投げると表が出るような細工がしてあると考えるのは、それなりに納得できるということになります。
この10円玉を、厳重に保管して、別の日に、別の人が、投げて、やはり5回 連続して表が出たとすると、殆どの人が、偶然とは思わないでしょう。
こうなると「有意」だとなるのです。

抗酸化ビタミンの話に戻ります。
飲んだ集団と飲まなかった集団で、差はあったのでしょうか。
それほど明らかなものは、なかったのです。
10円玉の実験のように、日を変えたり、人を変えたりして、何回も同じ結果が得られると、明らかにこれは有意だなと 誰もが納得するのですが、それほど確定したものはなかったのです。

ところで、抗酸化ビタミンに効果があるかどうかを調べるための調査に参加する人の立場で考えてみましょう。
本物か偽者か分からないものを飲まされ、経過を観察されるというのは、実験のモルモットになるようなものです。
従って、こうした実験に参加してもらう場合は、詳細に内容を説明して、同意を取る必要があります。いやになったらいつでも、止めていいですよという一言も付け加えられます。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:07Comments(0)養生

2010年09月20日

◆食生活2-22 ビタミンと微量ミネラル

抗酸化ビタミンを使用した、介入試験を試みます。
まず、二つの集団を設定します。両方の集団に、差がないように設定するのが、最重要事項です。
「差がない」というのは 病気のなりやすさに「差がない」という意味です。
例えば、二つの集団で、年令に明らかな差があったら、比較できません。
加齢とともに、癌になりやすいからです。

「病気のなりやすさに差がない二つの集団を設定する」この第一関門を、パスできたあとは、一方の集団には、抗酸化ビタミンを飲んでもらい、他方の集団には、偽ビタミンを飲んでもらいます。
この時、参加者が、本物の抗酸化ビタミンか偽ビタミンか、知らされないこともポイントになります。
自分は、が与えられているのが、本物か偽者か それを知ると、それ自体が一定の効果を産むかもしれません。
例えば、本物の抗酸化ビタミンを飲んでいるということが、健康への意欲を上げ、勤め先から、歩いて帰り、歩行量を増やそうという気になるとか。
人によっては、抗酸化ビタミンで補強しているから、少し不摂生してもいいかと考えるかもしれませんが。
いずれにしても、知っていることが、一定の効果を発揮する可能性があります。
従って、自分が飲んでいるのが、本物か偽者か 知らないことが大事になるというのです。

次に、こうした二つの集団を年単位で観察することになります。
ビタミンCを一定期間、一定量摂取すると、癌の発生が減るのかということが、最初のテーマだとすると、二つの集団の癌は発症を年単位で観察することになります。
そうして、ある時点で終了し、データをまとめて、二つの集団に差があるかどうかを解析するのです。
最終的には、両方の集団の差は「有意か有意でないか」ということが問題になります。
「有意」というのは、偶然にしたら差が大きいといことです。
どういうことでしょうか?
  


Posted by 杉謙一 at 07:41Comments(0)養生

2010年09月18日

◆食生活2-21 ビタミンと微量ミネラル

「細胞を劣化させる根元が、活性酸素である」という説が、有力であるということは、ご存知の通りです。
老化とは活性酸素で、細胞が劣化することであると考えると、抗酸化ビタミン(ビタミンA、ビタミンC、Βカロチン)を、多量に摂取し続けると、様々な効果があるのではないかと夢が膨らみます。
アンチエイジングの切り札にはならないだろうか?
勿論、許容上限摂取量以下での話しですが。
実際、抗酸化ビタミン摂取量と老化に伴う疾患(癌、血管障害)の関連を調べようという研究はたくさんあるようです。
老化に伴う疾患の背後には、活性酸素による細胞劣化がある。
抗酸化ビタミンで活性酸素を、コントロールすれば、老化に伴う疾患が減るのではないかという話です。
ビタミンCと癌、βカロテンと癌、ビタミンEと冠動脈疾患、ビタミンEと前立腺癌、抗酸化ビタミン摂取量と高齢者の脳機能など様々な分野で、研究が行なわれました。
こうした研究は、まず、観察することから始ります。
たくさんの人を、調査して、抗酸化ビタミンの摂取量を調べます。
摂取量の多い集団と少ない集団に分けます。
摂取量の多い集団に、疾患が少ないという結果が出ると、次の段階にいきます。
  


Posted by 杉謙一 at 06:50Comments(0)養生

2010年09月12日

◆食生活2-20 ビタミンと微量ミネラル

現在、認められている13種類のビタミンについては、“食事摂取基準”で、所用量と許容上限摂取量が定められています。
4種類の脂溶性ビタミン(A,D,E,K)は、いずれも許容上限摂取量が定められています。
脂溶性ビタミンは、油に溶け込んでいるので、排泄されにくく、過剰摂取で中毒に至るというのは、わかり易い理屈です。
では水溶性ビタミンは、大丈夫かというと、ビタミンB群8種類のうちナイアシン、ビタミンB6(ピリドキシン)、葉酸の3種類については、やはり許容上限摂取量が定められています。
ビタミンC(アスコルビン酸)には、許容上限摂取量がなく、時に、大量のビタミンCが使われることもあります。
ビタミンC大量療法とも言われ、正規の医療ではありませんが、一部の医師が、行っています。
アスコルビン酸を20g とか40g という量を点滴するそうです。
所要量は、1日100mg ですから、その200倍の量。
「大量」という所以です。
進行癌とか、難病の類が対象になることが多いようです。
簡単に言えば、補完代替医療の領域になります。

補完代替医療?
病気で苦しみ  目の前の患者に、どうかしてくれと頼まれ、その依頼に応えるのが、今も昔も「医」の原点です。
患者の依頼と確立された医療技術が、ピッタシ一致している場合、患者と医師は、良好な治療関係を築くことができるかもしれません。
しかし、そうでない場合もしばしばあります。
確立された、医療技術がない中で、手探りで、患者に同伴し、治療を展開していくことを強いられるのです。
医師としては。
この現実が、補完代替医療の背景だと思います。
またまた、脱線しました。

次回は、抗酸化ビタミン(ビタミンA、ビタミンC、Βカロチン)の話に戻ります。
  


Posted by 杉謙一 at 06:53Comments(0)養生

2010年09月05日

◆食生活2-19 ビタミンと微量ミネラル

例えばビタミンD中毒(過剰症)という病態があります。
多量のビタミンDを飲み続けると血液中のカルシウムが上昇し、遂には昏睡状態に陥ります。

特定の物質が、過剰で健康障害が生じることを、中毒と言いますが、医学―医療の重要な1分野です。

最近、ホメオパチーが話題になっています。
ただの砂糖玉が、あたかも効果あるもののように投与されていることに、日本学術会議が警鐘を鳴らしたことが、メディアでの喧騒の引き金になりました。
ホメオパチーは、19世紀の前半、ドイツの医師であるハーネマンが創始したものです。
しかし、ホメオパチーは、無害の砂糖玉どころか、中毒の問題から、構想されたものでした。
たくさんの物質が引き起こした、様々の中毒症状を詳細に観察し、記述することから構想された治療理論なのです。
ただ、特定の物質を何回も希釈するので、最後はただの砂糖玉だという訳です。
元素から世界ができているとする近代科学とは相容れません。

因みに、メルクマニュアルという医学書を見ると、「中毒」という1節があります。
そこには、特定の中毒物質として、薬(例えばアスピリンで知られるアセチルサリチル酸)
からタバコのニコチンまで、様々な特定物質が列記されています。
ビタミンだから身体に良いだろう 身体に良いビタミンは たくさん摂った方が良いだろうという 発想は時に、健康を害することもあるのです。
過ぎたるは及ばざるが如し なのです。

脱線しましたが、ビタミンAの前駆物質であるβ―カロテンを、いくら食べてもビタミンA中毒(過剰症)にならないというのは、優れた利点なのです。
  


Posted by 杉謙一 at 18:25Comments(1)養生

2010年08月29日

◆食生活2-18 ビタミンと微量ミネラル

生命活動をエネルギーという観点から見ると、炭水化物や脂質を酸化してエネルギーを生産して生きているわけです。
この時に、どうしても活性酸素が生み出される、言わば必要悪のように。
この活性酸素が、細胞膜を構成する脂質が過酸化脂質に劣化させること。
更に、過酸化脂質が、次々と作られることが結果的に細胞の癌化や血管の老化を引き起こすこと。
これらは、前回書いた通りです。

言わば、生活習慣病を生じる根本には、活性酸素があるというのです。

こうなると抗酸化作用を持つ、アスコルビン酸やビタミンEに期待が集まります。
こうした活性酸素を解毒する作用を持つビタミンを「抗酸化ビタミン」と総称します。

抗酸化ビタミンには、アスコルビン酸やビタミンEに加えて、β―カロテンがあります。β―カロテンは、ビタミンAの前駆物質で、β―カロテン1分子からビタミンA2分子ができます。
従って、β―カロテンはビタミンAの一部という扱いですが、ビタミンAには抗酸化作用ははありません。
β―カロテンって何?

ビタミンAの供給源は、動物性食品と植物性食品に大別されます。
動物性食品としては、ウナギ、卵黄が有名です。
他方、植物性食品は、ビタミンAの前駆物質として、食べられています。カロテノイドです。
赤や黄色の野菜に含まれています。人参、かぼちゃなどです。
600種類以上あると言われるカロテノイドの中で、ビタミンAの前駆物質としてもっとも強力なのが、β―カロテンなのです。

植物由来のビタミンAには、もう一つ いい点があります。
取りすぎの危険がないのです。つまり、ビタミンA中毒(過剰症)の危険がないのです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 17:50Comments(0)養生

2010年08月18日

◆食生活2-17 ビタミンと微量ミネラル

細胞膜が脂質で、構成されていて、その脂質の重要な部分が脂肪酸。
その脂肪酸が活性酸素で、過酸化脂質となることが、細胞老化の引き金になっているのではないことということは、前回書いた通りです。
過酸化脂質は、みずからが、活性酸素のように、次々と、周囲の脂肪酸を酸化していくとされています。将棋倒しのように。
これを、身を挺して食い止めているのが、つまり自ら酸化されることで、将棋倒しを食い止めているのが、ビタミンEなのです。
以前書いたように、ビタミンEの量はα-トコフェロール当量で示されます。
例えば。成人男子は、1日、10mgα-トコフェロール当量が必要である というように。
トコフェロールには、α、β、γ などがあり、効果が違うので、一番強力なα-トコフェロールに換算して、示すことになっているのです。例えば、β-トコフェロールは、α-トコフェロールの半分の強さなので、2mgのβ-トコフェロールは、1mgのα-トコフェロール当量とするというように。
ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、細胞膜に入り込んで、過酸化脂質が次々と作られるのを食い止めます。
しかし、ビタミンE自体が酸化されてしまいます。
だが、助っ人がいます、ビタミンCです。
細胞膜の外側には、ビタミンCが待ち構えていて、自ら酸化されて、ビタミンEを還元するのです。
こうして還元されたがビタミンEは、再び 細胞膜に入り込み、過酸化脂質ができることを食い止めるのです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 21:04Comments(0)養生