2011年05月15日

◆サプリ考 9

酸化―還元現象は、化学的現象です。
生命現象を化学的側面から研究する学問が生化学で、基礎医学で重要な分野です。
生化学では、「代謝」という言葉が、キーワードの一つです。
「代謝」とは、“有機化合物が合成、分解され、有効なエネルギーが抽出、貯蔵され、消費されるさまざまな反応”とされています。
体験的にも、ピンとくるのは、食物を食べて、カロリー(エネルギー)を摂取して、活力が出るという体験です。

例えば、食パン1枚(60g)を食べます。
おいしいという脳の満足感の後、食パン1枚は、消化→吸収されます。

食品成分表に依れば、食パン1枚には、約160kcalで、炭水化物が28gと記載されています。
勿論、タンパク質、ナトリウムなど様々な栄養素が含有されています。
しかし、炭水化物に焦点を当てると、食パン1枚は、最終的にはブドウ糖として、細胞に取り込まれるのです。

ここからが、生化学の世界です。
“食パンが分解され、有効なエネルギーが抽出される反応”の世界です。

細胞に取り込まれたブドウ糖は、解糖系という化学反応で分解されていきます。
この化学反応(有機化合物の分解)は、細胞質で行われます。

1個の細胞には、核やミトコンドリアなど様々な構造物(細胞内小器官)があります。
残りの部分が細胞質で、ここでブドウ糖は、ピルビン酸まで分解されて、ミトコンドリアに入ります。

このミトコンドリアの中で、酸素と反応する つまり 酸化されるのです。
従って、ミトコンドリアには、酸素が供給されているのですが、2-3%の酸素は使われずに活性化するといわれます。
活性酸素になるのです。

では、この活性酸素はどのように健康障害を引き起こすのでしょうか?

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 09:51Comments(0)医療と生活

2011年05月08日

◆サプリ考 8

抗酸化作用とは、「酸化に抗う」作用という訳ですから、「酸化」とは何かということになります。

「酸化」とは何か
一口で言えば、酸化とは、モノが燃えることです。

例えば、食品成分表によれば、食パン100gは、264kcal と記載されています。
食パン100gが燃えたら、264 kcalのエネルギーが産生されますよ ということです。

食物を分析する手順は、乾燥して、水分を取り除く→脂肪をエーテルで溶かす などなどと煩雑です。
しかし、最終的には、実際に、食パンを燃やして、その熱産生量(エネルギー産生量)を測定した数字が、根拠となっています。

食パンが、体内で酸化される(摂食 消化 吸収 代謝)こと
食パンが実験室で燃やされ発熱すること
この両者は、本質的に同一であるという考えは、18世紀末 フランスの科学者ラボアジエが確立し、当時としては画期的なものでした。

それから200年経ちました。
現在では、酸化は電子の移動と定義されています。

酸化は必ず還元とリンクしています。
二つの物質の間に生じる現象なのです、酸化―還元現象は。
二つの物質、物質Aと物質Bを例にします。
物質Aが酸化されたということは、物質Aが物質Bに電子を与えたということで、物質Bは電子をもらって還元されたということなのです。
還元された物質Bを酸化剤と呼びます。
酸素は酸化剤なのです。

善玉 悪玉論で、単純化すると 善玉は還元力、水素イオンなどなど。 
悪玉は活性酸素 、酸化作用などなどとなるわけです。

しかし 食品の一次機能は 勿論 栄養です。
栄養の一番目はカロリー。
カロリーとは食物が酸化されて産生される。
この 基本はしっかり押さえておきましょう。

ではどうして、酸化作用 即 悪玉
抗酸化作用を謳うサプリ続出という事態になったのか。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 17:56Comments(0)医療と生活

2011年05月01日

◆サプリ考 7

ビタミンAは、レチノール当量に換算して、量を定めます。

ビタミンAは、動物性食品 例えば牛のレバーには、レチノールという成分で含有されています。
他方、植物性食品 例えば人参では、αカロテン、βカロテンなどの成分で含有され、体内で、レチノールに転換されて、ビタミンAとして働くのです。
これらをプロビタミンAカロテノイドと総称します。
カロテンの仲間で、代謝されて、ビタミンAとして働きますよという意味です。

動物性食品と植物性食品を合わせて、ビタミンAの活性を示すのが、レチノール当量なのです。

栄養機能食品では、レチノール当量で、上限が600μg・下限180μgとなっています。
日本人の食事摂取基準2010に依ると、ビタミンAの許容上限量は、レチノール当量で3,000μgとされています。
ちなみに、ビタミンAの推奨量はレチノール当量で700-800μg程度です。

ビタミンAの過剰摂取による健康障害 すなわちビタミンA中毒としては、頭痛、脱毛などがあるそうですが、こうした健康障害が現実に危惧されるのは、レチノール当量10,000μgを超えてからだと思われます。

普通に食事していて、過剰摂取になることは考えにくい事態です。
因みに、動物性食品で、多量のビタミンAを含むウナギの肝は、100gで4,400μgものレチノールを含んでいますが、ウナギの肝は、実際に食べる量としては20g程度でしょうし、それもたまに食べる程度でしょう。
他方、植物性食品の代表である人参は、100g食べて、レチノール当量700μg 程度です。
日々の食生活の中で、結果的に推奨量に届かないとこも多いので、その分は、栄養機能食品で、補充してはどうですかという話です。
サプリのもっとも分かりやすいタイプかもしれません。

カロテノイドの一部は、変化して、ビタミンAになります、つまりビタミンAの前駆体です。
他方、ビタミンAとしての活性のないカロテノイドもあります。
リコペン、ルテインなどです。
こうしたカロテノイドは、抗酸化作用で有名です。
βカロテンも、ビタミンAの前駆体というより、抗酸化作用を持つサプリとして、一時、人気を博しました。

抗酸化作用を謳ったサプリはたくさんあります。
カテキン、ルテイン、ポリフェノール、ブルーベリー、などなど。
いずれも 植物性食品です。

ビタミン、ミネラルという 特定の栄養素を補うサプリは、わかりやすいのですが、抗酸化作用となると 話がややこしくなります。

では、抗酸化作用とは何か

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 15:20Comments(1)医療と生活

2011年04月29日

◆サプリ考6

栄養機能食品は、トクホに次いで、法的に認められたサプリです。
前回、「サプリでもわかりやすいのは、ビタミンC、カルシウム、プロテインのように、栄養機能が明確なものです。」と書きました。
栄養機能の明確なものの中で、ビタミンとミネラルに限定し、これらの成分、機能を表示してよいというのが栄養機能食品なのです。
最近では、サプリとしてのビタミンCの錠剤が食品として売られています。例えばコンビニのサプリコーナーで。
栄養機能食品として、販売されているのですが、これは、10年前から 許可されました。
それまでは、錠剤にすると薬と紛らわしいからと禁止されていたのです。
「薬」というのは、その成分だけではなく、形状、効能の表示、飲み方の表示など様々の要素から構成されているのです。
形状(錠剤)については、規制が緩和されたということです。

栄養素としては、34種類あるとされています。

その中で、12種類のビタミンと5種類のミネラルが、栄養機能食品として定められています。
また、それぞれに、上限と下限が定められています。
例えば、ビタミンCは、上限1000mg  下限35mg です。
1錠1000mg 以上のビタミンCは多すぎる、栄養機能食品を名乗る以上35mgは含みなさいという意味です。

ちなみにビタミンCは、1日100mg 摂取すれば、充分であるとされています。
みかん、いちご、トマトなど、様々な食品に、ビタミンCが含まれているのは、ご存知の通りですが、普通に食事をして、栄養機能食品を1粒でも、服用?すれば、1日100mgは、摂れるだろうということでしょう。
他方、過ぎたるはおよばざるがごとし で、過剰摂取の危険はないのでしょうか。
多量にビタミンCを摂取しても、尿から出ていくだけなので、基本的には害はないとされています。
しかし、1gを超えると、嘔気、下痢などの胃腸症状が出ることもあるとされています。
その危険を考慮して、上限が1gと決められたのだと思われます。
錠剤の食品のリスクはあれもこれも飲んでいるうちに、結果的に過剰摂取になることかもしれません。
例えば、ビタミンCを豊富に含むイチゴを1kg 食べても ビタミンC1gにはとても届きません。
食品で摂っていれば、まず大丈夫なものが、栄養素を錠剤化すると 過剰摂取に要注意ということです。

ビタミンCは、水溶性ビタミンです。
13種類のビタミンのうち、9種類が水溶性、残りの4種類が脂溶性であることはご存知の通りです。
一般的には、水溶性ビタミンは、過剰状態にはなりにくく、脂溶性ビタミンは過剰状態になりやすいという印象があります。
では脂溶性ビタミンの栄養機能食品であるビタミンAはどうでしょうか?

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 16:02Comments(0)医療と生活

2011年04月24日

◆サプリ考 5

前回、「トクホは、ある意味で、機能性食品の、もっとも進化した形」と書きました。
勿論、トクホはサプリのごく一部にすぎません。
殆どの、サプリは法的には食品なのですが、様々な三次機能を、アッピールしています。
法律の規制があるので、直接に効能を謳っているわけではないのですが。

サプリで戸惑うことの一つは、その種類の多種多様なことです。
高麗にんじんのように、昔から強壮作用があるとして知名度の高いもの。
イチョウ葉は、一部の国では老人性痴呆に効果あるとして、医薬品として使われています。
クマザサは、東北地方では、胃病に昔から使われていたそうです。
ウコンは二日酔い防止や消化障害に有効。
シャンピニオンは口臭、便臭の軽減に有効、
緑黄色野菜に含まれるルテインは、黄斑変性症に有効という具合です。

何かサプリでもと思い立っても、たくさんあるものから、何を選ぶか。
結局、知り合いから勧められたとか、たまたま目についたということが、使用開始のきっかけになるのかもしれません。
サプリでもわかりやすいのは、ビタミンC、カルシウム、プロテインのように、栄養機能が明確なものです。
栄養成分のサプリとして、栄養機能食品と呼ばれるものがあります。
栄養機能食品?

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 21:12Comments(0)養生

2011年04月10日

◆サプリ考 4

機能性食品とはどんなものか
例えば、カツオの中には、魚肉ペプチドが、微量 含まれています。
微量の成分を、測定する、それを濃縮することが、可能になった背景には、食品化学技術の展開があることは言うまでもありません。

「ペプチドエースつぶタイプ」という、トクホ(特定保健食品)があります。
「かつお節から抽出した かつお節オリゴペプチドが高めの血圧に優しく穏やかに働きかけます。」というコピーで宣伝されています。
180粒で約1ヶ月と記載されているので、1日6粒ということになります。
形状は、錠剤と同じです。
商品説明には、かつお節オリゴペプチドが、ヒトの体内の昇圧物質の酵素反応を抑制することで、血圧上昇を抑えるという図解入りの説明もあります。
国が認めた特定保健食品であることも書いてあります。

他方 ロンゲスという降圧薬があります。
薬事法に基づく添付文書には、定型通り 用法 用量 が記載されています。
「医師の処方せんにより使用すること」と記載されています。

ロンゲスという降圧薬は、やはり ヒトの体内の昇圧物質の酵素反応を抑制することで、血圧上昇を抑える薬なのです。
一方は食品から精製したモノ。他方は化学的に合成したモノと その点は異なるのですが、働く仕組みは、酷似しているのです。

カツオに魚肉ペプチドがある→魚肉ペプチドは血圧を下げるようだ→魚肉ペプチドを高濃度で抽出しよう→ヒトに飲んでもらって血圧が下がるかを調べよう→データを厚労省に提出してトクホの認定を受けよう

こうした流れで、トクホは作られるのです。
トクホは、ある意味で、機能性食品の、もっとも進化した形と言えるかもしれません。

次回に続きます。 
  


Posted by 杉謙一 at 06:33Comments(0)医療と生活

2011年04月03日

◆サプリ考 3

「食品」 砕いて表現すると 食い物。
生物にとって、食い物の必須かつもっとも主要な意義は何か?
言うまでもなく、カロリーの摂取です。
食べない時間が続くと、飢餓が訪れます。
食い物への欲求が充満します。
食べることで、癒されるのです。
ヒトも生物です、飢餓→食への欲求 この経路について、ヒト以外の生物と同じです。
室内犬を飼っていますが、その振る舞いを観察していると、飢餓→食への欲求 が基本であることを痛感します。

ここで、急に理屈っぽい話になります。
食品機能という考え方です。
食品には、一次機能、二次機能、三次機能があるというのです。
一次機能は、栄養
二次機能は、嗜好
三次機能は、生体機能の調節などの働き。

飢餓→食への欲求は一次機能の基底となっています。
この基底の上に カロリー(エネルギー)、3大栄養素、ミネラル、ビタミン、食物繊維
と連なります。
栄養の世界が展開されるのです。
いつも飢餓と隣り合わせに生きていた世界。貪欲に 食を求めていた時代が永く続きました。
ところが、30年前頃から、食が溢れた時代に転換したのです。

我が家の室内犬も、家族が外出し、食べ物と共に放置されると 食べずに不安な状態で待ちます。
家族が帰ると、ひとしきり 身体接触を求めます。
飢餓→食への欲求と別の要素が働いているのです。
生物としての本能が、一部 壊れているのかもしれません。

ヒトの話に戻ります。
食品の二次機能とは、旨い食い物を食いたいということです。
「空腹は最大の調理人」という諺があるそうです。
食品の一次機能と二次機能の関係をうまく表現しています。
しかし、現実は飽食の時代です。
思うほど売上の伸びない食品業界は、消費者の嗜好を引き出した商品を開発しようと、あの手この手です。

今回は、食品の三次機能が焦点になります。
「機能性食品」です。
1980年代に提唱された この言葉がサプリの源流とも言えるのです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:45Comments(0)医療と生活

2011年03月31日

◆サプリ考 2

薬と紛らわしい文言を食品に表示することは、薬事法違反になるのです。
三つポントがあります。
①医薬品的な効能効果
②医薬品的な用法容量
③医薬品的な形状
以上です。
一つ一つの薬には、その薬の素性を明らかにする添付文書が付いています。
その添付文書には、効能効果 用法容量 という欄があるのです。

現代日本で一番多い生活習慣病と言えば高血圧症です。
高血圧症に投与される薬は「降圧薬」と総称されていることは、ご存知の方も多いと思います。
たくさんの降圧薬がありますが、アムロジンという代表的な降圧薬の添付文書を見て見ましょう。
「効能又は効果/用法及び容量」
という欄があり
「高血圧症 通常、成人にはアムロジピンとして2.5-5mgを1日1回経口投与する」
と記載されています。

アムロジンは言うまでもなく薬です。
しかし、食品であるサプリに、薬もどきの効能、効果、用法、容量を記載したらいけませんよということです。

③の医薬品的な性状というのは、食品であるサプリを錠剤やカプセルやアンプルなどの形状で提供すると薬と誤認されるおそれがあるということです。
但し、食品と明示されていれば、薬事法違反には問われないということのようです。

薬と食品の区別? 違うのは当たり前じゃないか。
なんで細かい議論をする必要があるのだと一刀両断に切り捨てたいとこですが。
しかし 事態はとても込み入っているのです。

それにしても サプリ全盛の現在です。
1980年頃から 健康食品 いわゆるサプリが上り調子になったそうです。
食品、現代の健康と病気、更に栄養など様々な観点からサプリ問題を考えてみましょう。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:33Comments(0)医療と生活

2011年03月27日

◆サプリ考 1

サプリは言うまでもなく、サプリメントの略です。
日本語では「栄養補助食品」と言いますが、サプリは言葉として、定着し 広く使われています。

先ず、「食品」という点を、押さえておきましょう。
何を念頭に、「食品」という言葉を使っているのか?
言うまでもなく、「薬」です。

「食品」と「薬」 この二つは、法律で明確に分かれているのです。

食品衛生法第二条という法律を見てみましょう。
「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」
と明確に、分離されています。

法律の文面は字面だけ見ると、分かり辛いこともあるのが常で、医薬部外品?の疑問も浮かびますが、食品と医薬品(医薬部外品も含めての医薬品)が、峻別されていることは押さえておきましょう。

他方、現実は複雑で、医食同源という言葉まであります。
だからこそ、法律では、明確な定義をせざるを得ないというのが、実際なのです。

食品に食品衛生法があるように、薬には薬事法という法律があります。

薬事法では、薬でないもの(ということは食品ですね)を薬のようにして販売することを厳しく規制しています。
薬の成分を、食品に混ぜて、販売することが違法であることは、誰にとっても明白です。
例えば、血糖降下作用のある薬の成分を、お茶に混ぜて、「血糖を下げる驚異のお茶」
として、売り出すというようなことです。
かなり以前のことです。
甲状腺ホルモンを混ぜた食品を 驚異の痩せ薬として 売り出し、健康障害が多発し、関係者が薬事法違反で摘発されたという事件がありました。
最近でも、海外からの輸入食品で、同様のケースもあるようです。

しかし、薬成分をこっそり食品に忍び込ませて、販売増を図るという露骨な薬事法違反は、最近では、珍しいかもしれせん。
しかし、食品を薬もどきで販売してことについての薬事法の規制はもっと厳しいものがあるのです。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 17:03Comments(0)医療と生活

2011年03月21日

◆食生活3-23 ミネラル

血液中のカルシウム濃度上昇する →副甲状腺ホルモンが低下する 
→尿へのカルシウムの排泄が増加する、同時に骨からのカルシウム動員を減らす 

→血液中のカルシウム濃度が低下する →副甲状腺ホルモンが上昇する 
→血液へのカルシウムの再吸収が増加する、同時に骨からのカルシウム動員を増やす 

→血液中のカルシウム濃度が上昇する→副甲状腺ホルモンが低下する

こうして 血液中のカルシム濃度は、一定の幅に調節されています。
一定の幅は、8.5mg/dl から 10.2mg/dl の幅でとても精緻なものです。
こうした動き、即ち「上がれば下げる 下がれば上がるという 不断の」動き
この方法はで、さまざまな 事象を一定の幅に収める仕組みは生命現象を維持する もっとも 基本的な仕組みです。

気温が上がれば、汗が出て、熱を奪い 体温の上昇を食い止める 他方、気温が低下すると 震えが生じ、熱を産生して 体温の低下を食い止める こうした体温維持も同様の仕組みなのです。

更に、腎臓では ビタミンDを活性化するという作業も遂行されています。
ビタミンDが腸でのカルシウム吸収を、活発にしているのは、既に書きました。

こうして、骨、腸管、腎臓などの臓器が、相互に連動し、血液中のカルシウム濃度を、狭い範囲に維持するのですが、その調節をしているのが、副甲状腺ホルモンとビタミンDなのです。

ヒトは、5種類の多量ミネラル(カリウム ナトリウム カルシウム マグネシウム リン)を 必要とし、9種類以上の微量ミネラルを必要とすると言われますが、その一つ、一つが、カルシウムで概観したような、複雑な仕組みで精緻に調整されているのだと考えると、改めて 生命現象の奇跡に驚くのです。

食生活ミネラルは終了します。
次回から 「サプリ考」を開始する予定です。
  


Posted by 杉謙一 at 07:07Comments(0)養生

2011年03月20日

◆食生活3-22 ミネラル

腎臓というのは、血液の流れる血管と尿の流れる管(尿細管)が膜を介して隣接しています。
血液の中の赤血球を始めとする血球成分は膜を通過できません。
血球以外の液体部分は通過できるのです。

血液の液体部分が、膜を通過して尿側にろ過されたのが原尿です。
この原尿が尿細管で再び血管に戻されるのですが、これが再吸収です。
この再吸収の時、戻す成分と戻さない成分を選別したり、調整したりするのです。

例えば、蛋白質の老廃物である成分(言わば栄養代謝のゴミのようなものですが)
こうした成分は、再吸収されず、そのまま尿の中に、捨てられます。

1回ろ過して、その後に再吸収する。
こうした手間をかけて 調節するのも、生命現象の特徴かもしれません。
始めから、精密な青写真で、調節するのではなく、先ずは 大雑把な作業をして、次の段階で調整するというやり方です。

カルシウムは一部血液に戻され(再吸収)、残りは尿に排泄されます。
どの程度まで 血液に戻すのか? 
それを調節している主役が副甲状腺ホルモンなのです。
具体的な調節の方法を見てみましょう。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 14:14Comments(0)養生

2011年03月06日

◆食生活3-21 ミネラル

ヒトが、普通に何気なく生活する中で、血液中のカルシウム濃度が厳密にコントロールされているということの驚異を、前回 書きました。

そのためには、いくつかの仕組みがありますが、ビタミンDと副甲状腺ホルモンが、重要だと言われています。

ビタミンDは、脂溶性ビタミンですが、一部は体内で作られています。
元来、ビタミンは、「人体に必須の微量生理活性物質だが、体内では作れないモノ」という定義なので、おかしいようにも思われますが、食事から一定量を取らないととてもまかなえないのでやはりビタミンと言えるのです。

ビタミンDは、小腸でのカルシウム吸収を助け、副甲状腺ホルモンと協力して、腎臓でのカルシウムの再吸収を促進し、骨からのカルシウム移動に関与します。
前回、「カルシウムは日々、腸から吸収され、血液を介して、骨で出納され、腎臓を経て尿に排泄されているのです。」
と書きました。
①腸での吸収 ②骨での出納 ③腎臓から排泄(尿に出る)
以上3点のすべてで、ビタミンDは関与しているのです。
すべて、血液中のカルシウムを上げるように働きます。

血液中のカルシウムが上がれば、カルシウムは結果的に巨大な貯蔵庫である、全身の骨に沈着するのです。
副甲状腺ホルモンもビタミンDと協力して、血液中のカルシウム濃度を上げるように働きます。
特に、腎臓でのカルシウムの再吸収、骨からのカルシウムの動員の時に活躍します。

ここまで、読んで、腎臓でのカルシウムの再吸収? なんのことだ?
と思われた方もあると思います。
説明します。
腎臓は、ヒトの生命活動にとって、とても重要な臓器の一つなのですが、たくさんの重要な役割の一つに水分やミネラルの調節があります。
この役割を遂行する上で、大切な仕組みが「再吸収」なのです。

生きている限り、心臓は1分間に約5Lの血液を、打ち出していると言われますが、このうちの25%の血液は、腎臓に流れ込み、膜を通して、ろ過されます。
赤血球は膜を通過できないので、ろ過された体液は、血の色ではなく、淡黄色です。
これを「原尿」と言います。
その量たるや膨大で、1日200Lに達するそうです。
普通、1日の尿量は、2Lにも達しません。
つまり、原尿の99%は、体内に回収されてしまうのです。
これが、再吸収です。
一見、無駄のようですが、とても役立っているのです。
どう役立つのか?

次回に続きます
  


Posted by 杉謙一 at 17:06Comments(0)養生

2011年02月27日

◆食生活3-20 ミネラル

カルシウムの代謝の仕組みは、そこそこに複雑です。

「代謝」というのは、医学では、しばしば登場する言葉ですが、元来の意味は、古いものと新しいものが入れ替わって、変化していくことです。
ヒトの身体の、ある要素 例えば、カルシウムに着目すると、不断に入れ替わり、変化しているというわけです。
細胞自体が、不断に入れ替わっているヒトの身体なのです。
不断に入れ替わりながら、全体の統一性が維持され、田中さんという一人のヒトの同一性が維持されていること
これこそ、生命現象の脅威と言えるかもしれません。

さて、カルシウムの代謝です。

登場する器官系での主役は、骨です。
約200個あると言われているヒトの骨にはカルシウムが、詰まっています。
約1kgと言われるカルシウムの99%は、骨に存在します。
骨はカルシウム代謝では、巨大な貯蔵庫でもあります。
他の部位で、カルシウムが足りない時は、骨のカルシウムが溶け出して、補充するということです。

骨以外では、腸管、腎臓などが登場します。
これらは、ヒトの身体で、遠隔に位置しています。

当然、これらを連結する仕組みが必要で、全身に張り巡らされた血管とその中を絶えず流れている血液が連結します。
ちなみに、血液中のカルシウムは、ヒトのカルシウム量の僅か 0.1%です。
微量だが、重要です。
何千万円の定期預金があっても、財布に10円しかないと、現金でしか買えない野菜は入手できないというのと似ています。

カルシウムは日々、腸から吸収され、血液を介して、骨で出納され、腎臓を経て尿に排泄されているのです。
血液中のカルシムは8.5-10.2mg/dl と 厳密にコントロールされています。
ヒトは、食欲に導かれ、食べ、飲み、他方、尿意を 催せば 排尿するということを何気なく続けていますが、その結果、血液中のカルシウム濃度は厳密にコントロールされているのです。
これもよく考えると、驚異的です。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 10:08Comments(0)養生

2011年02月20日

◆食生活3-19 ミネラル

いささか 優等生的で、ありふれますが、医療的管理とトクホを上手に活用することかと思います。
車の両輪のように。

医療的管理の弱点の一つは、管理されている患者の当事者意識が、高まらないことです。
どうしても、医療の元から、少しでも遠ざかりたいという力が働くのです。
病院からはなれて、自由になりたいという気持ち。
逆に言えば、医療的管理の下では、窮屈で束縛されているという気持ちを持つ方がかなりいるということかもしれません。
特に、糖尿病のような、生活習慣の変更が、不可避な療養では、窮屈感が強化されます。

トクホが窮屈感を緩和し、当事者意識の高揚に役立てば・・。

この場合、「先生、実は、先月から 豆鼓エキスを愛用してのですが、どんなものですかね」
と切り出すことの是非から話が始まります。 
トクホも含めて、健康補助食品を、使用している方の多くが、医師には 敢えて申告していないと言われています。
アンケート調査などの結果です。

糖尿病などの慢性疾患の場合、患者と医師は治療同盟を結ぶという考え方もあります。
同盟である以上、つつみ隠さず曝け出すのが、第一歩だということになりますが、そう簡単に割り切れるのか?

脱線してしまいました。
次回から、カルシウムの問題に戻ります。
  


Posted by 杉謙一 at 09:27Comments(0)

2011年02月13日

◆食生活3-18 ミネラル

トクホは、本格的な? 糖尿病の方に適した食品と言えないと思います。
特に、本来、病院での管理(治療)を受けた方が、利点の多い病態の糖尿病の方が、病院の敷居が高いので、遠慮している場合は。

例えば、以下のような 流れです。
毎年、職場の健診では、受診は勧奨されている。
でも、医療の門はくぐりたくない。
下手に病院にいくと、医師やら栄養士やらが出てきて、禁酒、禁煙、厳しい食事制限を指導し、毎日の生活が暗転するらしい。
でも、糖尿病のことは気になるな・・。
ほおっておくと、失明したり、透析したりする破目になるそうじゃないか?
でも 自分の場合はまさかね。
ひどく 血糖が高いというわけでもないようだし。
でも なにもしないのも どうかな。
そうそう テレビで宣伝していた、「血糖が気になる」方のための、豆鼓エキスあれでいくか
こういう場合は、不適切な使い方のように思います。

では、適切な使い方とは?

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:49Comments(0)養生

2011年02月11日

◆食生活3-17 ミネラル

「オリゴでしっかりカルシウム」は、“骨の健康書が気になる方の食品”という表示が認められています。
アスパラカルシウムのように「下記代謝性骨疾患におけるカルシウム補給・・」という表示ではありませんが。
トクホは、病気を治療する薬ではなく、あくまで食品なのです。
他のトクホの表示も見てみましょう。

例えば、「血糖値が気になり始めた方の食品」というトクホ表示の食品もあります。
豆鼓エキスが一例です。
健診で「糖尿病の気があります」などの、曖昧な説明を受け、病院は苦手だけど、やはり気になるという宙ぶらりんの心境の方には、心引かれる フレーズかもしれません。

他方、例えば、「血圧が高めの方に適する食品」というトクホ表示の食品もあります。
アミールSが一例です。

「糖尿病」、「血糖が気になり始める」、「高血圧」、「血圧が高め」
頭が混乱してきます。

薬が認可を受けるまでには、膨大なデータを蓄積し、二重三重に吟味されることは言うまでもありません。
「臨床試験」と呼ばれています。
有用かどうか、例えば、血圧の薬が、本当に血圧を下げるのかどうかが吟味されると同時に、副作用の有無が厳しく吟味されます。
この膨大なデータの精髄が、薬剤の添付文書に集約されているのです。
ひとたび 医薬品ということになると、人命に関わるので、当然のことです。

ではトクホの場合はどうでしょうか。
あくまで、食品ですが、一定の効能を表示している以上、一定のデータの提出を求められます。
その食品を食べた時、血糖は? 血圧は?
一定の効果があることは 示さないとトクホとして認可されません。
安全性については、既に食品としての使用経験があるので、薬ほど神経を尖らすことはないのです。
でも、紛らわしいのも事実です。
例えば、糖尿病の人が「豆鼓エキス」を愛用するのをどう考えるか。

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 16:35Comments(0)養生

2011年02月06日

◆食生活3-16 ミネラル

カリウムと同様、カルシウムにも薬があります。
例えば、アスパラカルシウムという薬は、1日2錠を1日3回 つまり、1日6錠 飲むように定められています。
1錠に200mgのカルシウムが含有されているので、1日1200mg を 補充することになります。
どんな場合に、薬としての投与が認められているのでしょうか。
例えば、「下記代謝性骨疾患におけるカルシウム補給 骨粗鬆症、骨軟化症」と記載されています。
一度、薬事法で定められた薬として、投与されるかぎり、適応の疾患に、定められた用量、用法で投与されるのが 薬なのです。

他方、「オリゴでしっかりカルシウム」という 食品があります。
食品なのですが、特定保健用食品という認可を取った食品、いわゆる 「トクホ」です。
1日6粒食べると、300mgのカルシウムを摂取でき、しかも吸収が良いとのことです。
但し、薬ではなにので、1日3回(用法)とか、骨粗鬆症のカルシウムの補給になる(効能)とかの記載はされていません。
用法や効能は、薬の世界の用語なのです。
「トクホ」は言うまでもなく、食品です。
薬ではありません。
しかし、健康に良いということを表示してよいのです。
どんな表示なのでしょうか?

次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 18:10Comments(0)養生

2011年01月30日

◆食生活3-15 ミネラル

毎日、カルシウムを600mg 以上摂るのは、なかなか大変です。
最新の日本人の食事摂取基準2010では、700mgが推奨されているので尚更です。

豊富にカルシウムを含んだ食品の御三家といえば、1 乳製品  2 小魚 3有色野菜  ということになります。
但し、カルシウムは、摂取分が全て、吸収される訳ではありません。
吸収されるのは、半分以下です。
乳製品のカルシウムは吸収されやすいから、牛乳やヨーグルトを飲むと良いという話は小耳にはさんだことがあると思いますが、それほど大きな差はないので、御三家の食品をなるべく摂ればいいのだよという栄養士さんもいます。

9人の20代の女性で調査したデータがあります。
乳製品、小魚、野菜の3群での、カルシウムの吸収率を調べたデータです。
それぞれ、39.8%  32.9%  19.2%の収集率だったとのことです。
ただ、有色野菜というのが なかなか むつかしく、トマト、ピーマンには、少量のカルシウムしか、含まれておらず、「しゅんぎく」、「こまつな」には たくさん含まれているとか面倒です。
栄養素という観点。
他方、具体的な食品と調理という観点
この両者の統合が、食生活と健康問題を 考えていく上で、ややこしい点かもしれません。
この 両者を繋ぐものが、日本食品標準成分表です。

例えば、 「陸稲めし 精白米」という項目を開くと、エネルギー(カロリー)から始って、三大栄養素、無機質(ミネラル)、ビタミン、脂肪酸、コレステロール、食物繊維まで列記されています。
可食部100gあたりという注釈をつけて。
ひとつの食品には、様々の栄養素が入っていて、1回の食事は、様々の食品から構成されています。
今日の昼飯には、結局 カルシウムは 何mg 入ってたかな と考えるととても面倒なことになります。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 17:12Comments(0)養生

2011年01月23日

◆食生活3-14 ミネラル

一人のヒトの体内のカルシウムは、1200g前後とされています。
勿論 ミネラルの中では、一番多いカルシウムなのです。
多量ミネラルである、カリウム150g ナトリウム60gと比較しても、その多さが突出しています。
その大部分、99%が、骨に含まれていることは言うまでもありません。

カルシウムと言えば、骨粗鬆症―骨折―寝たきり という文脈で、登場します。
しっかり カルシウムを摂取して、骨折しないような丈夫な骨にしようというわけです。

カルシウムは、1日で600mgの摂取が、勧められていますが、実際に摂れてない人も多いとされています。
多量ミネラルで、一番、摂取不足になるのがカルシウムなのです。
1200gも貯蔵されているカルシウム。
1gの6割に過ぎない600mgなど微々たる量なので、摂っても、摂らなくてもたいしたことはないじゃないか。
少し、骨から融通してやればとも考えます。
しかし、毎日 コツコツと600mg以上のカルシウムを摂ることが大切です。
これを続けていると、長い目でみて骨を丈夫にできるのです。
数億円の財産を持っていても、財布に数十円だと コンビニでの支払いに困るというような話です。

実は、血液中のカルシウム濃度は、8.5mg―10.2mg と 厳密にコントロールされていて、
この範囲を超えると高カルシウム血症、範囲を下回ると低カルシウム血症となり、まさしく病気で、ついには意識障害にまで到るのです。
生命現象は複雑で、骨のカルシウムを出し入れして、適当に調節するとはいかないのです。
カルシウムも摂れば摂るほど良いというわけではありません。
過ぎたるは及ばざる如しといいますが、食事中のカルシウム上限は、2500mgとされています。
次回に続きます。
  


Posted by 杉謙一 at 16:39Comments(0)養生

2011年01月16日

◆食生活3-13 ミネラル

同じカリウムなのですが、食品である野菜ジュースと薬であるグルコン酸K錠とは扱いがまったく異なっています。

薬になると、薬事法という法律で規定されています。
薬にはすべて「医療用医薬品の添付文書情報」がついています。
因みに、グルコン酸K錠5mEqという薬の添付情報を見てみましょう。
最初に禁忌 (次の患者には投与しないこと) と 赤枠で囲われた記載があります。
そこには、腎障害を始めとして7項目が記載されています。
医師が薬を処方する時、なによりも注目するのは、この赤枠の禁忌事項です。
禁忌の薬を処方して、健康障害が生じた時は、重大な注意義務違反に問われる恐れもあるのです。
そんな薬は処方しないのが常識じゃないかと思われるかもしれません。
しかし、複雑な病態、微妙な患者―医師の治療関係、多忙 こうした中で営まれている日々の診療では、気がつくと、禁忌の薬を処方していたということは、間近にあるリスクの一つなのです。

医療用医薬品の添付文書情報には、効能 効果という欄で、薬の効果が記載されています。
更に、用法 容量という欄で、いつ、何錠を飲むかなどが決められています。
医療用医薬品の添付文書情報を読み進むと、慎重投与とか併用注意とかの記載があり、更に、山のような副作用が記載されています。

医事紛争で裁判になると、この添付文書情報が、司法判断の根拠になります。
ひとたび、薬ということになると、薬効と副作用を巡って、オドロオドロしい世界が広がっているのです。

それに較べると、身体に良いから野菜ジュースを というのはのどかな世界ではあります。
同じ、カリウム補給でも。

次回からは 多量ミネラルの花形、カルシウムを取り上げます。
  


Posted by 杉謙一 at 07:13Comments(0)養生